環境意識は日を追うごとに高まっています。
ヨーロッパでは2022年11月、自動車の新たな排ガス規制「ユーロ7」を提案しました。これは、2025年から乗用車、27年からトラック・バスにより厳しい排ガス規制が適用されるもので、電気自動車も規制対象になりました。EUは、35年にガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を掲げています。
自動車と飲食店。まったく関係ないように見えますが、実は全て繋がっています。これは世界的に環境意識が高まっていることの表れで、この流れは日本の飲食店にも必ず影響を及ぼします。
飲食店で問題になっているのは食品ロス。食品ロスの削減はSDGsの目標にも掲げられ、国際的にも重要な課題となっています。
日本では、食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」が2017年に年間612万トン、このうち外食産業から127万トンもの食品ロスが発生しています。多くが食べ残しによるものとのことです。
今回は飲食店が取り組むべき食品ロス対策についてご説明致します。
食品ロスの現状
前述した日本の食品ロス、年間612万トンですが、この量は国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量(約420万トン)の1.5倍に相当します。外食産業の食品ロスは一般家庭に次ぐ2番目に該当し、127万トンに及ぶとされます。
農林水産省の「外食・中食産業における食品ロスについて」によると、飲食店の食品廃棄物の主な要因は「顧客の食べ残し」。これが6割弱です。続いて「仕込みすぎ」が挙げられています。
飲食店の食べ残し対策が進むだけでも、数字は大きく改善されることが分かります。
推奨される飲食店の食品ロス対策
環境省は、消費者庁、農林水産省、厚生労働省とともに、 食べきりの促進と、 食べ残し料理の「持ち帰り」は自己責任の範囲でという内容を呼びかける文書を公表しています。
食べ切りの促進
食べ残しは、廃棄することになるので飲食店にとっても損失となります。食べきってもらうように、料理を出すタイミングや、客層に応じた工夫をしましょうと呼びかけています。
小盛りや小分けの商品をメニューに採用する、宴会は幹事とメニュー量を相談する、食べきったらサービス券を配付するという対策が求められています。
食べ残し料理の「持ち帰り」は自己責任の範囲で
食べ残し料理を持ち帰ってもらうのは、食品ロス対策に最も有効です。しかし、これには食中毒のリスクがあり、あまり積極的には推奨されていません。
実施する場合は、食中毒等のリスクや取扱方法等、衛生上の注意事項を十分に説明する、十分に加熱された食品を提供する、水分はできるだけ切り、残った食品が早く冷えるように浅い容器に小分けする、外気温が高い時は持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供するなど食中毒リスクを限りなくゼロにする努力が求められています。
飲食店の食品ロス対策の現状
現状は食品廃棄物多量発生事業者に該当しない限りは、食品ロス対策は努力義務の範囲です。
しかしながら、冒頭でご説明した通り食品ロス対策の流れはますます加速していくと考えられます。早急に対策する必要性こそ薄いかもしれませんが、知識として知っておくことは非常に大切なことといえます。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
飲食店が取り組むべき食品ロス対策についてご説明しました。
将来的に罰則が厳しくなる可能性もゼロではありません。中途希望者も含め、飲食店従業員のひとりひとりが食品ロス対策について知識を深めていくことは、今後必然となってくると思われます。