飲食店経営に関係する法律は様々あり、労働基準法、労災保険法、パートタイム労働法は特によく知られています。もちろん、これらは飲食店の経営をするにあたり必須知識。人を雇用する場合は重要になります。しかし中にはあまり知られていませんが、大切な法律もあります。
今回はいずれ飲食店を経営したいと考えている方向けの内容です。知らないことで罰せられてしまうことを防ぐため、飲食店経営者が見落としがちな法律や制度の一部をご紹介いたします。
著作権
最も意外と思われるものから紹介させて頂きます。飲食店を開業するとき、流行りの音楽や癒しの音色を店内に流したいと希望する方は多いでしょう。
しかし曲には基本的に著作権があります。そのため買ったCDを店内で流すには著作権管理団体に著作権使用料を支払わなければなりません。
ちなみに商用利用できる音楽定額配信サービス、通称サブスクの中には商用利用可のものもあり、そちらであれば特に著作権管理団体に申請しなくても自由に音楽を流すことができます。
ただし、日本で高いシェアを誇る、「Apple Music」や「Amazon Music」は個人利用を目的としたサービスであり、実は商用利用ができない規約となっています。こちらは著作権使用料を払っても使うことはできないのでご注意下さい。
食品リサイクル法
2000年に制定された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、通称食品リサイクル法は、売れ残った食品、食べ残し、食品廃棄物の削減のため、飼料や肥料への再生利用を推進しようという法律です。
事業者は食品廃棄物を家畜の飼料や農業肥料などに再利用できるようにする必要等があります。
食品廃棄物を年間100トン以上排出している事業者には、多量発生者に対する発生量、再生利用量などの報告が義務付けられています。命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
ちなみに年間の食品廃棄物等の発生量が100t未満の事業者は原則、罰則はありませんが、食品循環資源の再生利用等の実施を行うことを事業者には義務付けられているということを理解しておきましょう。
景品表示法
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法である景品表示法」。企業広告にルールを定め、お客様を守ることが目的の法律です。
例えばメニュー表に○○店より大盛りと、山盛りのご飯の写真を掲載しているのに著しく少ない量で提供したり、食品の産地偽装を行ったりすると課徴金の納付を命じられる可能性があります。ちなみに前者は有利誤認表示、後者は優良誤認表示に該当します。
商品が無いのにあるように見せるおとり広告も景品表示法違反に該当します。「広告に載せた商品が早々に売り切れた」と言い訳をするお店もありますが、誰でも全世界にむけて手軽に情報を発信できるSNS時代のいま、これらは非常にバレやすくなっているので、絶対に行わない方が良いでしょう。
風営法
風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」。深夜営業をするつもりがなかったが急遽方針転換した飲食店経営者の方は見落とすこともあります。
深夜帯にお酒を出すお店、お客様に遊びを提供するお店が対象です。深夜にアルコールを提供するお店は風営法に基づき「深夜酒類提供飲食店営業」の提出が必要になります。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
飲食店経営者が見落としがちな法律や制度の一部をご紹介いたしました。
他にも健康保険及び厚生年金保険法、独占禁止法、消防法、所得税法や法人税法、地方税法など、飲食店経営者が知るべき法律は様々あります。
必要に応じて学んでいきましょう。