飲食店の開業には様々なハードルがあります。
「食品衛生責任者」を置くこと、保健所の検査をクリアし所在する都道府県の知事から「飲食店営業許可」を得ることなどです。
もちろん開業資金集めも一つのハードルに違いありません。しかし行政の視点からすると、衛生的な施設で安全に配慮して営業しているかどうか。この点こそが最も重要視される項目です。
どれだけ味や外観にこだわった店づくりをしていても、保健所の検査が通らなければ営業すらできないというのが現実です。そのため、施設検査がどのように行われるかをしっかりと把握しておく必要があります。
今回は「飲食店営業許可」を得るための施設検査で、保健所はどのような点をチェックするかに焦点をあて詳しく説明致します。
営業許可証交付の流れ
1.保健所に事前相談
2.営業許可を申請
3.施設検査の打ち合わせ
4.保健所の施設検査
5.営業許可証の交付
上記が一連の流れとなります。
保健所の施設基準は、自治体によってかなり違いがあります。内装や水回りなど基準が異なるため、保健所との事前相談が重要です。そのため内装の設計図面ができあがり、機器のレイアウトが決まった段階で相談に行くというのが一般的です。その際は、手書きの平面図でも問題ありません。
もしも相談なしで基準に満たない作りだった場合、工事のやり直しを求められる可能性があるため注意するようにしましょう。
主なチェックポイントについて
厨房区画を明確にする
飲食店は、厨房とその他の区画を明確に区別することが求められています。厨房区画を出入りする場所にはドアや跳ね上げカウンター、またはそれに準ずる造作物を設置することが定められています。
また、客席に飲料用の冷蔵庫、ドリンクバーの設置などを考えている場合も事前に確認する必要があります。
手洗い器の設置
店舗関係者・利用客が衛生を保つため、厨房とトイレに手洗い器とハンドソープを最低でも一つずつ設置する必要があります。手洗いのサイズも自治体ごとに決められていますまた、多くの自治体で消毒器の設置が義務付けられています。それら固定方法も違いがあるので確認しましょう。
シンク
シンクは2槽式で、それぞれに蛇口がついているものが望ましいとされています。食材と食器の洗浄を別々に行えるよう、通常、厨房にシンクは2槽以上必要とされています。また自治体によっては食器洗浄機を1槽と数える場合もございます。
また、水とお湯が出せる給湯設備も設置義務があります。
蛇口の形状
食品衛生法の改正で、2021年6月から水道の蛇口の設置基準が変わりました。食中毒などの予防のため、センサー式、水が一定時間流れたら止まるタイプなど、手指を使う必要のないものが求められています。
食器棚
食器棚は、食品衛生法により扉がついたものが義務づけられています。店舗営業後には、すべての食器を収納できることも条件です。床に置く場合は、目線以下の高さになり清掃しやすいことが求められます。
冷蔵庫、冷蔵庫
厨房機器は、すべて調理スペース内におさめなくてはいけないというのが原則です。また、温度計も必要です。業務用であれば最初から付いているものがほとんどですが、家庭用の冷蔵庫などでは別途温度計を購入する必要があります。
防虫設備、ごみ箱
虫などが入ってこないよう、窓や換気扇などは防虫設備が必須。さらに厨房内にはゴミ箱の設置が最低でも1つは必要です。ゴミ箱は衛生面から、ふたつきのものが義務付けられています。
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まとめ
「飲食店営業許可」を得るための施設検査で、保健所はどのような点をチェックするかについてご説明しました。
このほか天井・壁・床などさまざまなチェックポイントがあります。自分の思い込みでやるのではなく、早い段階から保健所に相談することが大事です。