「内装制限」という言葉をご存じでしょうか。
万が一、店舗で火災が発生した際に、その被害を最小限に留めるべく、内装で使用する素材などが決められています。これが内装制限です。
火災はひとたび発生すると、自分の店舗だけでなく、隣の建物や地域全体を巻き込む恐れがあります。また、一瞬で燃え広がるため、多くの人の生命までも危険にさらします。
お客様や従業員らの命を守る「内装制限」。今回は飲食店関係者が知識として身につけておきたい、こちらの用語についてご説明致します。
内装制限とは
建築基準法による内装制限
火災の初期段階における安全避難(避難の誘導)を目的とする出典 https://www.mlit.go.jp/common/001205298.pdf
消防法による内装制限
火災の予防・初期消火・人命救助・消火を目的とする
内装制限は、建築基準法第35条の2、建築基準法施行令第128条の3の2から第129条により定められています。建物内で火災が発生した際に、建物内部の延焼を防ぐことが目的。建物の種類ごとに基準が分かれています。
建築基準法は、火が拡大して避難が遅れないよう、天井や壁材の素材などを規制しています。消防法は、消防設備の設置等が定められています。
また、場所により、都市計画法も適用されることがあります。
飲食店の内装制限
飲食店では、1.2m以上の高さがある天井や壁が対象です。また、耐火建築物の場合は3階以上で床面積が1,000㎡以上、準耐火建築物では2階以上で500㎡以上、それ以外の建物は200㎡以上等が内装制限の対象となります。
こちらに当てはまると、通路や階段、居室などは、準不燃材または難燃材料以上の耐火性がある材料を選ばなくてはいけません。
※これらの規定は政令等により変わる場合があります。
飲食店の内装制限に関わる防火材料
不燃材料
一番火に強いのが不燃材料です。不燃材料は火災が発生してから、20分間は燃えない材料のこと。コンクリート、アルミニウム、ガラス、れんがなどです。
また、これ以外の材料でも建設大臣の認定を受ければ不燃材料として使用可能です。
準不燃材料
火災発生後、10分間は燃えない、損傷や変形しない材料のことです。
内装制限には、準不燃以上と記載されている場合も多いため、使用することが多い材料になります。
木毛セメント板、石膏ボード、セルロースファイバーなどがこれに当たりますが、現在は条件を満たしているもの全ての材料を指します。
難燃材料
火災が発生してから、5分間は燃えない材料のことです。
こちらも難燃合板などがこれに当たりますが、こちらも現在は条件を満たしているもの全ての材料を指します。
消防法における内装制限
消防法に基づいて消火設備、警報設備、避難設備(避難はしご等)の設置が義務付けられています。
また室内カーテンなどの敷物類は防火防災対象物の基準を満たしている物を使用する必要があります。カーテンや絨毯などが対象です。消防法の制限がかかる場合、消防法施行令及び消防法施行規則の基準で合格した防災対象物品を使用する必要があります。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
飲食店関係者や転職希望者も知っておきたい、店舗の「内装制限」についてご説明しました。
火災は誰にとっても他人事ではありません。特にほとんどの飲食店は火を扱うので、これらは必須知識の一つと思われます。
また内装制限にはデザインの自由度を増すための緩和策もあるので、興味のある方はご自身でも調べてみましょう。