「年末調整についてよく分からない」「会社にお任せにしている」というお話をよく聞きます。
経営者や経理部門の方にとっては身近な言葉なのですが、一般的には正しく理解している方はそれほど多くありません。
しかし分からないままでいると、必要な控除を忘れてしまい、知らないうちに損をしてしまうこともあります。
今回は、飲食店スタッフにとっても必須の知識である、年末調整について基本的な知識をご説明致します。
年末調整とは
会社が給与を支払うときに、従業員の給与や賞与(ボーナス)から所得税を徴収することが「源泉徴収」です。本来徴収すべき所得税の一年間の総額を再計算し、源泉徴収した合計額とあらためて比較することで、「過不足金額」を調整することが「年末調整」です。仮に余分に源泉徴収をしていた場合、その差額は従業員に還付される、という仕組みです。
出典 https://www.freee.co.jp/hr/yearend/knowledge-flow/
ざっくり説明すると、税金を払いすぎていたら還付され、税金の不足があれば差額を納めます。これが年末調整です。要は「正しい所得税の金額を計算する」というだけなので、難しく考えなくても大丈夫です。
年末調整はアルバイトも対象?
年末調整は会社から給与を受け取っている人が原則対象なので、飲食店で働くアルバイトも対象です。正社員やアルバイトなどの雇用形態や、主婦、学生、未成年者などの属性も区別なく行われます。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出している従業員が年末調整の対象となります。
<年末調整の対象とならない人>
- 1年間の給与収入が2,000万円を超える人
- 1年の途中で退職し、再就職しなかった場合
※所得税の精算作業である年末調整がされていないので、自分で確定申告が必要です。再就職、つまり転職した場合は新しい勤務先で年末調整をします - 2カ月を超えて継続して雇用がない、日雇い労働者などの場合
- 災害被害を受け、災害減免法によってその年の給与に対する所得税の徴収猶予や還付をすでに受けている場合
- 副業をしている、アルバイトをかけもちしているなど、2カ所以上の収入源がある場合
※メインの勤務先で年末調整したあと、原則自分で確定申告することが必要になります。
年末調整の対象とならない場合は、原則確定申告を行う必要があります。
飲食店勤務が「副業」の人
年末調整はひとつの勤務先で行います。飲食店での仕事が「副業」の場合、飲食の会社ではなく本業の会社で年末調整をします。ただしこの場合、本業の会社が年末調整をしてくれるのはその会社の所得のみ。副業の年間所得が20万円を超えたら、副業分は自分で確定申告をする必要があるので注意しましょう。
20万円以下であれば確定申告も不要です。(所得税のみ。住民税は別途市区町村へ申告が必要です)
ちなみに副業先には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出は必要ありません。
年末調整の注意点
配偶者控除、扶養控除、地震保険料控除など各種控除が該当する場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に該当部分をきちんと記入しましょう。記入が面倒だからという理由で、控除欄を空欄で提出すると、多くの場合損をします。
年末調整で控除をすると、その分支払う所得税が減らせます。所得税が減らせるということは、手元に残るお金が増えるということです。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
年末調整について基本的な知識をご説明致しました。
「アルバイトも年末調整の対象」「副業先では年末調整不要」「控除は税金を減らせるということ」
まずはこの3つを最低限覚えて頂ければと思います。年末調整や税金については今後も、分かりやすく解説していく予定です。