大西洋と地中海に囲まれたヨーロッパの南西端・イベリア半島にあるスペイン。地域ごとに気候、風土が違い、歴史的に色々な民族の影響を受け、独自に発展してきました。
スペインのイメージも比較的、日本人にとってイメージしやすいかもしれません。スペインの伝統行事で、中世から行われていた闘牛の知名度は非常に高いですし、アンダルシア地方発祥のフラメンコは多くの日本人に親しまれています。
ちなみにオリーブオイルやニンニクを多用するスペイン料理は日本でも人気です。バスクやカタルーニャ地方の料理がフランス料理に通じていたり、アンダルシア地方の料理はモロッコに影響を受けたりと、地域ごとに特色があります。
今回は近年注目度が増しているスペインの郷土料理について、地域による違いをご紹介します。
スペイン北東部
バスク、ナバラ、アラゴン等は比較的湿潤な気候で、バスク地方は食文化のメッカとも言われています。豊かな山海の幸に恵まれており、白身魚メルルーサやカツオ、鰯、鱈など魚が豊富。ソースを多用する料理も人気です。リオハはワインの産地。そのためワインで煮込んだ料理も多いです。ナバラでは良質のホワイトアスパラガスが取れます。
干し鱈をたっぷりのオリーブオイルでとろとろになるまで弱火で煮た料理バカラオ・アル・ピル・ピル、あさりのワイン蒸し、串刺しのタパス・ピンチョスが定番です。
スペイン北西部
ガリシア、アストゥリアス、カンタブリア等湿気が多く、緑豊かな丘陵地帯が広がる地域です。カンタブリア海にも面しており、魚介類を使った大胆な料理が特徴。ガリシアは、フランスのブルターニュ地方やノルマンディ地方の料理にも似ています。
茹でだこにオリーブオイルと塩、パプリカで味付けしたものを茹でたじゃがいもと一緒に食べるプルポ・ア・ラ・フェイラ、様々なシーフードを少しずつ鉄板にのせてグリルすると美味しいマリスカーダ、たこのガリシア風(祭りだこ)、焼きリンゴが代表的な料理です。
スペイン東部
地中海沿岸のバレンシア、カタルーニャ、バレアス諸島が含まれます。温暖な気候で豊富な野菜と果実、地中海の魚介類に恵まれた地域です。バレンシア郊外には豊かな水田地帯が広がっており、実は米料理の本場。イタリア、フランスの影響を受け、サラソン(干し物)や魚卵の塩漬け、腸詰めなどを使った料理もあります。
鶏肉などの肉類とイカや海老の煮物であるマル・イ・モンターニャ、スペインで年間を通してよく食べられる干し鱈入りのサラダ・エスケイシャーダ、パエリア、松の実入りほうれん草炒め等が広く知られています。
スペイン中央部
イベリア半島のほぼ中央部に位置するスペインの首都マドリッドや、トレド、ラ・マンチャ地方がある大陸性気候で雨が少なく、乾いた大地が広がる地域。牧畜が主産業です。
コシード(野菜と子羊や贓物の煮込み)やアサード(ロースト)が代表的な調理法で、仔豚の丸焼きは有名。野鳥、川マスも食材として使われます。
スペイン南部
温暖な地中海気候であり、太陽の恵みをいっぱい受けたフルーツや野菜が豊富。アンダルシアはアフリカ大陸に近く、冷製料理やイスラム色の強い宗教的祭事に伴う料理があります。エストゥレマドゥーラは、ポルトガルに接する山岳地帯なので、牧畜が中心です。また各地で通称「山のハム」・ハモンセラーノが作られています。
ペスカディートと呼ばれる小魚やチピロネスという小イカのフライ、トマト、ピーマン、にんにく、きゅうりなどをミキサーにかけた冷製野菜スープ・ガスパチョ、フラメンコ・エッグなどが有名です。
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まとめ
スペインの郷土料理の地域による違いについてご紹介しました。日本でもスペイン料理を気軽に楽しめるバル(バーと食堂が一緒になった飲食店)が増えてきています。バルで働くとより一層、スペイン料理に詳しくなれるので就職・転職先としてもおすすめです。