「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉を耳にする機会が最近増えてきたかと思います。これは、世界の貧困層を見捨てないというだけの意味を示すものではなく、世界のあらゆる層が問題の解決に参加し、地球の未来に貢献することを求めるものです。
SDGsではもちろんエコも求められています。
エコと聞くと「無駄遣いをなくす」という精神が大事です。近年は人々の意識も少しずつ変わってきたと言えますが、日本ではまだまだ大量生産・大量消費の面が目立ちます。フードロスの深刻な状況が叫ばれるようになったのもこのためです。
日本の食品廃棄物等は年間で約2,550万トンもの量が出されていると言われています。そのうちフードロスは約612万トンにものぼります。これは、国民1人につき一日約132グラムのフードロスを出しているという計算になり、国民全員が毎日茶碗1杯分ほどのご飯を廃棄していると言えるのです。
このような背景から制定されたのが食品リサイクル法です。今回は法律の趣旨や、飲食店に求められている義務等についてご説明します。
食品リサイクル法について
食品の売れ残りや食べ残しにより、又は食品の製造過程において大量に発生している食品廃
棄物について、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や
肥料等の原材料として再生利用するため、食品関連事業者(製造、流通、外食等)による食品
循環資源の再生利用等を促進する。
出典 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/s_about/pdf/data1.pdf
食品リサイクル法の正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」。2000年に制定されました。売れ残った食品、食べ残し、製造過程で出る食品廃棄物の削減を求め、畜産農業などで使用する飼料や肥料への再生利用を推進する内容です。
事業者は食品廃棄物を家畜の飼料や農業肥料などに再利用できるようにする必要があります。これが難しい場合は熱回収、もしくは譲渡が有効です。または、脱水や乾燥などで量を減らし、処理しやすい状態にすることが求められています。
対象になる事業者
食品の製造、加工、卸売又は小売を業として行う者(食品メーカーや百貨店、スーパー、八百屋など)、飲食店業、その他食事の提供を伴う事業として政令で定めるものを行う者(レストランや食堂、カフェ、飲食物を提供するホテルや旅館などの宿泊施設、結婚式場など)が対象です。
飲食店関係者はほぼ全て該当すると思ってもらえれば間違いありません。
食品廃棄物とは
対象となる食品廃棄物ですが、食品の売れ残りや食べ残しだけでなく、製造や加工、調理の過程に生じたクズ等も含まれます。
ちなみに、家庭から排出される生ごみは対象外です。
罰則について
食品廃棄物を年間100トン以上排出している多量排発生事業者には、業種別再生利用等実施率や多量発生者に対する発生量、再生利用量などの報告が義務付けられています。再生利用等の実施を十分に行わない事業者には、勧告、公表、命令が行われ、命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
また、食品廃棄物多量発生事業者が発生量等を報告しなかった場合、もしくは虚偽の報告をした場合は20万円以下の罰金が科せられます。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
飲食店に求められている「食品リサイクル法」についてご説明致しました。年間の食品廃棄物等の発生量が100t未満の事業者は原則、罰則はありません。
しかし、食品廃棄物等の年間発生量の大小に係わらず、食品循環資源の再生利用等の実施を行うことが義務付けられております。法の主旨をよく理解し、食品リサイクルに努めましょう。