「食品衛生法」は2021年6月1日、大幅に改正され施行されました。HACCP(ハサップ)の制度化や営業許可制度の見直しなど、大きな変更がありました。
今回は、飲食業界関係者なら知っておく必要がある食品衛生法がどのように変わったのか、改めて詳しくご説明致します。
食品衛生法とは
食品衛生法とは、「日本で国民が安全に飲食できるように、必要な規制や措置を決めて、飲食によって起こり得る危害を防止しましょう」という法律です。
この法律で規制の対象となる食品は、医薬品・医薬部外品を除くすべての飲食物とされています。
詳しくは食品や添加物、食器や割烹具、容器や包装、乳幼児用のおもちゃなどが規制の対象になります。
乳幼児は、おもちゃを口に入れることがあるので、おもちゃも規制の対象とされているのですね。
出典 https://www.urethanegel.jp/blog/eiseikanri/1051
食品を取扱うにあたって、清潔で衛生的に行うことが原則です。食品衛生法では主に、安全が確保されていない不衛生な食品を販売したり配布することが禁止されています。
改正食品衛生法の要点
HACCPに沿った衛生管理を制度化
HACCPとは、国際的にも認められた衛生管理手法で、食中毒や異物混入などの恐れがある要因の管理を行います。原則、全ての食品等事業者に対し、HACCPに沿った衛生管理(熱処理の殺菌温度等)の実施を求められるようになりました。飲食店をはじめとする小規模営業者等は、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に基づく手引書を参考に、取り組むことが義務付けられました。
大規模または広域に及ぶ食中毒の対策強化
広範囲で発生した食中毒事案への対策が強化されました。これは、国や都道府県などが連携や協力をすると共に、緊急時に対応する「広域連携協議会」を地域ブロックごとに設けています。
食品用器具・容器包装にポジティブリスト制度を導入
改正以前の食品用器具や容器包装は、原則全ての物質の使用を認め、制限する物質を定めるネガティブリスト制度が導入されていました。そのため海外で使用が禁止されている物質をすぐに規制できなかったため、改正により安全な物質のみの使用を許可したポジティブリスト制度を導入することになりました。
営業許可制度の見直しと、営業届出制度の創設
営業許可制度の見直しが行われ、32業種に再編されました。食中毒の危険性や食品産業の実情から定めました。そして、HACCPの制度化に併せて、食品事業者の把握のために、新たに営業届出制度が設けられました。「許可営業」および「届出対象外営業」に当てはまらない営業者は、保健所に営業届出を行う必要があります。
特定の食品による健康被害情報の届出を義務化
事業者は、厚生労働大臣が定めた特別の注意を必要とする成分等を含む食品よって健康被害が起こった際に、行政へ健康被害の情報を届け出なければなりません。
食品による健康被害の発生や拡大を防ぐために、新たに設けられました。
食品等のリコール情報、行政への報告を義務化
食品などを自主回収する場合、リコール情報を自治体へ報告することが義務付けられました。リコール情報は、自治体から国へと報告されます。届けられた情報は、HP等で公表されることになります。
輸出入食品の安全証明の充実
輸入食品の安全を保つため、輸入の条件として、食肉等にはHACCPに基づいた衛生管理が、乳製品や水産食品には衛生証明書の添付が求められます。
食品を輸出する際の衛生証明書発行に関する事務についても法律で定められることになりました。
https://www.gourmetcaree.jp/kanto/
まとめ
改正食品衛生法を解説致しました。食の需要の変化や国際化などに対応するため、消費者を守るための制度であるということが分かって頂けたかと思います。
飲食業界への就職・転職希望の方も必須の知識となっておりますので、この機会に学んでおきましょう。