【お弁当販売にも許可がいる?】意外と知らない飲食業の免許
コロナの影響で、TAKE OUT・お持ち帰りができる飲食店が急激に増えました。また、お酒を販売しているお店や、冷凍販売をはじめたお店も目にするようになりました。この記事では、飲食店で新たな商売を始める際に必要な販売許可・営業許可について気を付けたいポイントについてまとめました。
1.テイクアウトは飲食店営業許可があればOK?

お店で調理し、販売するものに関しては、飲食店営業許可のみでOKですので、大半の飲食店はこの許可内でテイクアウト・デリバリーを行っています。お寿司屋さんがお店で握ったお寿司をテイクアウト、ピザ屋さんがピザをデリバリーは飲食店営業許可があればOKということですね。
ただし、ここで要注意なのが、作り置いておいたものを販売するのは飲食店営業許可内ではできないということです。
2.いわゆる「お弁当販売」には飲食店営業3類の許可が必要

「作り置いておいたものを販売するのは飲食店営業許可内ではできない」というと、「じゃあテイクアウト需要の高いランチタイムに向けて、普段お店で出しているハンバーグセットを容器に詰めて準備しておいた」なんていうパターンはどうなるのでしょう?わかりやすい記事があったので引用します。
「基本的な考え方としては、適法な『営業許可』を受けた飲食店が、店で提供しているメニューを店頭で売る場合、テイクアウトそのものの許可は不要です。ただ、最初からテイクアウトのつもりで調理する場合は、飲食店の営業許可では足らず、メニューによって個々の『製造許可』を得る必要があります。たとえば、ハムなどの肉や、ケーキなどの菓子、アイスなどの乳製品などは、それぞれ独立した『製造許可』が必要です。要は、店で出すつもりで作って、結果として持ち帰りを認めるのと、最初から持ち帰りを目的として作るのは、違うということです。
引用元:新型コロナきっかけで「テイクアウト」導入の飲食店、製造許可は必要か?(https://www.bengo4.com/c_18/n_11035/)
↑は飲食店経営に強い弁護士の石﨑冬貴先生による記事です。グルメキャリーでも法律に関する記事を連載中なので、気になる方はぜひチェックしてみてください!(―飲食店専門弁護士 石崎冬貴の― あなた、ドタキャンされましたよね。 ―ホントにあった飲食店トラブル解決記―)
以下に該当する場合、保健所への届出等は不要です。
・原則、店内で提供しているメニューであること。
・注文を受けてから調理し、すぐにテイクアウト又は配達する。
・直接消費者へ販売し、すぐに食べるよう伝えられること、またその保管方法、アレルゲンの情報についても伝えられること。ただし、次の場合は届出や新たな許可が必要な場合もありますので、必ず事前に保健所までご相談ください。
・あらかじめ大量に調理、製造し、包装、保管して販売する場合。
・別の場所(すでに営業許可を取得している施設以外)で調理する場合。
・直接消費者ではなく、インターネット販売や別の施設(店等)で販売をする場合。
・ケーキやパン、アイスクリーム等を販売する場合。
・店のメニュー以外(生の肉や魚、その加工品等)を販売する場合。引用元:飲食店等でのテイクアウト販売及びデリバリー(出前・配達行為)について(http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/061700/p054653.html)
大量に作りおいていたお弁当をランチタイムに売り出すというのも、「飲食店営業1類」の許可の範囲内では不可能で、「飲食店営業3類」の許可が必要となりますし、お寿司屋さんが刺身単体で販売する場合は「食料品等販売業」の許可が必要になります。焼肉屋さんの「おうちで焼肉セット」というようなテイクアウトメニューも、「食肉販売業」の許可が必要で、これを機に新たな販売許可書を取得して営業しているお店も多いことでしょう。
3.冷凍販売やお酒の販売は簡単に始められそうで意外と厳しい

冷凍販売
簡単にはじめられそうな冷凍販売ですが、冷蔵業をはじめるには【「処理室」「凍結室」「冷凍保管室」が完備する】【「凍結室」「冷凍保管室」に温度計を設置する】など、基準に沿った環境を整える必要があります。
酒類販売
お酒はお店で仕入れて、お客様にお出ししているものなので、そのまま売れると思いがちですが、こちらもテイクアウトや未開封の瓶や缶で販売するにはそれに応じた許可書が必要です。そして、かなり細かい要件をクリアする必要があります。お店にお酒を販売するためだけのスペースを用意したり、飲食と物販でレジキーを分けたりしないといけなかったり、お酒を販売するためには設備や仕組みを変えなければなりません。コロナでの応急処置として、「期限付酒類小売業」もありましたが、2020年6月下旬までの申請だったため今は申請ができません。なのでこの許可書を取得して「今だけ限定」でお酒のテイクアウトを実施しているお店もあります。
4.まとめ

飲食に関係する営業許可・販売許可を取得するには細かい取得条件をクリアしなければなりません。調理方法や、保存方法を誤ったり、管理を怠ると命にかかわる食中毒なども引き起こしかねないからです。
今後も新しい「飲食店+〇〇」という営業の仕方が増えてくことでしょう。大手通販サイトでお取り寄せグルメの販売を開始したり、自社でオンラインストアを運営したりするお店も増えてきています。「期限付酒類小売業」のような例もあるように、飲食店を守るために一時的に免許取得の条件が易しくなることもあります。なにか新しい商売を始める場合には管轄の保健所に相談するのが安心ですね。
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