九州の食べんといかんばい~福岡編~ 「シロウオ」
福岡市西区にある室見川(むろみがわ)では、毎年2月に入るとシロウオ漁が始まります。シロウオとはハゼ科の体長4~5cmほどの小さな魚で、美しい透明な姿が特徴的。
しかし、死んでしまうとその姿が白くなることから「シロウオ」と名付けられたそうです。
博多湾で成魚になると、鮭と同じく産卵のために室見川へと帰ってくる性質を持っています。川には竹で作られた「やな」と呼ばれる仕掛けが並び、川をのぼってくるシロウオをやなで獲るこの漁法は、江戸時代から約300年も続く伝統的な方法です。
室見川にやなが並び始めると、人々は「もうすぐ春がくるな~」という気持ちになるのだとか。それほど、シロウオは春の風物詩として根付いています。
シロウオの有名な食べ方は「踊り食い」です。ずばり、生きたままのシロウオを口にします。水がはられた大皿の中では生きたシロウオが泳いでおり、それをアク取りのような網ですくってポン酢につけて食べるんです。
踊り食いという名の通り、口の中でピチピチとシロウオが踊っている感覚になります。そのまま飲み込めばツルッとした喉越しが楽しめ、噛めばほどよい苦味と甘味が口の中に広がります。
生きたまま食べるなんて残酷…と思われるかもしれませんが、シロウオは死んでしまうと一気に鮮度が落ちるため、この踊り食いこそが最も美味しい食べ方なんです。もちろん他にも天ぷらや卵とじ、かき揚げなどのメニューがあるので、踊り食いに抵抗があるという方もご安心を。
シロウオ漁は2月上旬から4月頃まで行われます。この時期だけしか食べられない踊り食い、皆さんもチャレンジしてみてはいかが!?