九州の食べんといかんばい~宮崎編~ 「魚うどん」
宮崎県南部に位置する日南海岸ではカツオやマグロを筆頭に、新鮮な魚介類が豊富に獲れます。そんな漁業の町として知られている日南市では、「魚(ぎょ)うどん」という不思議な郷土料理が存在するんです。
うどんはうどんでも、名前の通り「魚のうどん」。小麦粉を使っておらず、魚のすり身で作られている麺なんです。主に、地元で水揚げされたアゴ(トビウオ)やカンパチ、ハモ、タイなどの白身魚が使用され、現在でこそ卵や少量の片栗粉をつなぎの役割として混ぜるものの、昔は魚のすり身のみで作られていました。
戦時中から戦後は、米や小麦粉などの主食が不足していた食糧難の時代。食料の確保が厳しい中、港町の日南市では魚が手に入りやすい環境でした。そこで先人たちが知恵を絞って生まれたのが、うどんの代わりになる魚うどんだったのです。
魚うどんの最大の特徴は、麺がのびないこと!しかも魚が原料のため、煮込めば煮込むほど出汁が出ます。そのおかげで、スープには醤油などを少し加えるだけで十分深い味わいに。麺はモチモチ感もありながら、スルッとした喉越しが絶妙です。
魚うどんにはDHAやEPAが豊富に含まれており、タンパク質も摂取できるので栄養満点!うどんよりも低カロリーなので、近年はダイエット目的として食べる方も増えているそうです。
素朴な味わいながらも、味の深みと栄養が抜群な魚うどん。これからの季節は、鍋に入れるのもオススメ!ぜひご賞味あれ!