北陸の食べてみられ~福井編~ 「おぼろ昆布」
見た目はふんわりしていて、水分を含むとトロトロになるおぼろ昆布。実は、手すきおぼろ昆布の8割以上は福井県敦賀市で作られています。
富山をはじめ、北陸三県では昆布の消費量が全国トップクラスです。その背景には江戸時代から明治時代に栄えた北前船(※1)の存在があります。敦賀は北前船の寄港地で、関西とのつながりが昔も今も強く、関西の昆布文化を支え続けています。
※1…江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した、北国廻船(かいせん)の名称
「おぼろ昆布」と「とろろ昆布」
昆布を薄く削ったものには、「おぼろ昆布」の他に「とろろ昆布」があります。この2つ、言い方の違いだけで同じものと思っている方もいらっしゃいますが、実は全く違うもの。おぼろ昆布は昆布の平面を薄く削ぐのに対し、とろろ昆布は重ねた昆布の側面を薄く削るのです。海苔のようにおかきやせんべいに巻いたり、ばってらずしにのせるのがおぼろ昆布、北陸でおにぎりにまぶして巻きつけるのがとろろ昆布です。同じ昆布から作られたものですが、食感や風味はかなり違うんですよ。
とろろ昆布は今では機械で大量に作られるようになりましたが、おぼろ昆布は職人さんによる手作業で作られています。透けて見えるほど薄く削るには、熟練した職人技と質の高い昆布が不可欠。その為、おぼろ昆布は高級品なんです。
今度おぼろ昆布に出会ったら、ぜひ敦賀を思い出してくださいね!