関西の食べなあかんやん~京都編~ 「しば漬け」
「すぐき」、「千枚漬け」と並んで京都の三大漬物に数えられる「しば漬け」。今では全国へ普及し、日本国内であればほぼどこでも購入することができます。
その知名度の高さから京都の名産品だとご存知ない方もいらっしゃるかも?ということで、今回は「しば漬け」についてご紹介します!
「しば漬け」は、京都・大原で平安時代の末期頃に生まれました。元は紫蘇の産地であった大原の郷土料理だったのです。
平安時代に栄華を極めた平家は1185年の壇ノ浦の戦いで滅亡しましたが、当時の天皇皇后であり、平清盛の娘でもあった建礼門院徳子(けんれいもんいんとくこ)だけは敵だった源氏の手によって命を取り留めます。
その後、建礼門院は出家して尼となり、大原にある寂光院という寺に移り住みました。その際に大原に住む人が建礼門院へ献上したのが「しば漬け」であり、建礼門院は色鮮やかな赤紫色の漬物を「紫葉(むらさきは)漬け」と呼んでひどく喜んだと言われています。この「紫葉漬け」が「しば漬け」の名前の由来になったそうです。
現在主に流通しているしば漬けは、実は昔ながらのしば漬けとは違うものだとご存知ですか?
スーパーなどで購入できる「しば漬け」は、キュウリやミョウガなどを酢に漬けたもの。そして本来の「しば漬け」はナスと紫蘇を塩のみで乳酸発酵させたもので、酢は使用していなかったのです。この酢を使わない方法で作られたしば漬けのことは、現在では「生しば漬」と呼んでいます。
なぜ酢で漬けたしば漬けの方がより普及したかというと、乳酸発酵で作るしば漬けに比べて味や品質を一定に保ちやすいため。味の違いを食べ比べてみるのも面白そうですね。
ごはんのお供としてだけではなく、アレンジしてメインのおかずとしてもおいしいしば漬け。食欲の秋の食卓にいかがですか。