九州の食べんといかんばい~鹿児島編~ 「酒ずし」
鹿児島で江戸時代から続く、華やかな「酒ずし」という料理があります。見た目はちらし寿司のように、色とりどりの具材がのったお寿司ですが、他とは違う大きな特徴があります。
通常、酢や砂糖を合わせて酢飯を作りますが、酒ずしは一切それらを使わないんです!
桶の中にご飯を広げ、そこに酒をまぶします。この酒は清酒ではなく、「灰持酒(あくもちざけ・あくもちしゅ)」というもので、醸造したもろみに灰を加えて保存性を高めた日本古来の酒です。鹿児島では地酒と呼ばれ、それをまぶしたご飯の上に味付けしたタケノコやシイタケ、錦糸卵やさつま揚げなど、たくさんの具材をのせていきます。これを2~3層繰り返し、一番上にはエビやイカ、名産のきびなごなどの海鮮類をのせて華やかに仕上げます。
これで完成!…ではなく、最後にまた地酒をふりかけて蓋をし、おもしをのせて5~6時間寝かせれば完成です!地酒の力で発酵がすすみ、独特の香りと風味、そして甘みがご飯一粒ひと粒に染み込んでいて、酢飯とはまた違う美味しさがあります。
400年以上の歴史を持つ酒ずしは、お花見用に作られたと考えられています。当時はまだまだ男尊女卑が残っている時代。女性は男性の前でお酒を飲むことができませんでした。それでも、お花見のときくらいはお酒を飲みたい!そう思った武士の奥方たちは、堂々と飲めないお酒をお寿司に混ぜ込んだわけです。考えましたね~!(笑)
時代は違えど、お酒を飲みながらお花見を楽しみたいという文化は、男女共に現在も変わっていないんですね。皆様も来年のお花見のお供に、酒ずしはいかがですか?あ、もちろんお酒が入っていますので、普通に酔っ払います。下戸の人はご注意ください!