九州の食べんといかんばい~佐賀編~ 「須古寿司」
のどかな田園風景が広がる、米どころとして有名な佐賀県白石町須古地区。ここの郷土料理に、「須古寿司(すこずし)」という華やかな彩りの箱寿司があります。500年以上も受け継がれている須古寿司は、現在も須古地区の祭り事や祝い事には欠かせない料理です。
作り方は、「もろぶた」と呼ばれる木の箱に、もち米を加えた酢飯を敷き詰めます。次に、食べやすいよう正方形に切り分け、それぞれの酢飯の上に具材をのせていきます。具材は、錦糸卵やかまぼこ、奈良漬け、紅生姜、椎茸やゴボウなどたくさん!
そして忘れてはいけないのが、ムツゴロウ!実は有明海でとれるムツゴロウは佐賀の名物で、見た目とは裏腹にとても美味しいんですよ。ムツゴロウは蒲焼きや甘露煮にし、同様に酢飯の上にのっています。
もともとは、須古地区を治めていた領主に、感謝の気持ちを込めて作った寿司を献上したのがはじまりと言われています。領主も農民を労り、米の品種改良を推進して生産性を高めることに尽力しました。こうして須古地区は米の名産地になったのです。
もろぶたの中で区切られた寿司は田んぼを表し、丸く盛り付けられた黄色の錦糸卵は、小さな水田の一つひとつに映る「田毎の月」を表現しているそうです。少しかわった盛り付けには、こういったメッセージが込められていたんです。500年以上続いている伝統を、これからも残していってほしいですね。