九州の食べんといかんばい~福岡編~ 「おきゅうと」
福岡を中心に食べられている「おきゅうと」とは、海藻を使った加工品です。見た目はこんにゃくのようで、もっちりとした食感ですが、喉ごしはところてんに似てツルンとしています。
ところてんの原料がテングサという海藻なのは有名ですが、おきゅうとは何でできているのでしょう?
おきゅうとの原料は、「エゴノリ」という主に日本海側に分布している紅藻(こうそう)の一種と、固める作用を持つ「イギス」という海藻をブレンドしたものです。これをお湯で煮て溶かし、裏ごししたものを小判型に薄く伸ばします。冷めて固まったら完成で、これをクルクルと丸めたものがスーパーなどで販売されています。
食べ方は、丸まったおきゅうとを5~7mmくらいの厚さに切り、その上にカツオ節やおろしショウガ、すりごまやネギなどをのせて、醤油や酢醤油をかけて頂きます。おかずやお酒のつまみにもよく合いますが、福岡では朝ごはんの定番メニューとして食卓に並ぶのだとか。日本では戦後、明け方になると朝食のための納豆やしじみ売りが町中を売り歩いていたのですが、福岡ではおきゅうと売りが歩いていたそうです。
かわった名前のおきゅうとですが、その由来は、戦後の食糧不足のときにたくさんの人々の食卓を救ったことから、「救人(きゅうと)」と呼ばれるようになったという説があります。
時代が変わった現在も、福岡の食卓を支えるおきゅうと。もちろん購入もできますが、宿泊先のホテルや旅館の朝食に出てくるかも!