九州の食べんといかんばい~大分編~ 「ほうちょう」
大分市戸次(へつぎ)地区に古くから伝わる郷土料理に、「ほうちょう」という料理があります。その見た目は完全にうどんなのですが、麺を箸で持ち上げてみるとビックリ!1本の麺の長さはなんと2m以上もあるのです!今回は、そんなほうちょうの歴史をご紹介します。
戦国時代、大分県を治めていた大名の大友宗麟(おおとも そうりん)は、大の鮑(アワビ)好きでした。ところがある年、鮑が不漁だった時期があり、好物が食べられないと嘆いていた宗麟を見かねて、家臣はあることを思いつきます。それは、小麦粉を練って鮑の腸に似せたものを作ることでした。宗麟は大変喜び、その料理を「鮑腸(ほうちょう)」と名付けたといいます。そう、ほうちょうを漢字で表すと「鮑(アワビ)の腸」なんです。見た目からは高級食材の鮑とは結びつかない料理ですが、こんな由来があったなんて面白いですよね!その後、小麦の産地だった戸次地区に郷土料理として根付いたと考えられています。
実は、ほうちょうは作るのに大変な手間がかかるため、現在では飲食店でも食べられるところが減ってきているそうです。作る人によって麺の太さや固さが変わるため、家庭でも味は様々。茹で上げた麺をめんつゆにつけて食べるのですが、2m以上ある麺はすすって食べることができないため、途中で噛み切りながら食べます。めんつゆには、大分特産のかぼすを絞ってサッパリと◎
素朴で小麦粉の風味を感じられるシンプルな郷土料理ですが、食べることがなかなか難しくなってきているのが現状です。ユニークな歴史と共に、これからも受け継がれていってほしいですね。