トータルプロデュースが おもしろい! トラットリア モッチ オーナーシェフ 岡本 秀成さん(40才) |
トップレベルのブランド牛と遜色のない味を誇りながらも、リーズナブルに楽しむことができる三重県産の「伊賀牛」。生産量の少なさから地元以外ではなかなか味わえない“知る人ぞ知る”逸品を神戸にいながらにして楽しめるのが、トラットリア モッチだ。
オーナーシェフの岡本秀成さんは、伊賀牛のふるさとである三重県伊賀市出身。その足取りを聞くと、「人生のあらゆる経験は“今”につながっている」と感じずにはいられない。
岡本さんは高校を卒業後、美容専門学校に進学。学生時代に飲食業でアルバイトをしつつ、卒業後はアパレル業界を志す。しかし、飲食業のおもしろさにも惹かれ、ビアレストランで勤務するように。その後、創作イタリアン、ホテルのカフェレストラン、パブ、居酒屋、カフェ、ワインバー、ビストロと、35才で独立するまでジャンルを問わずにさまざまなお店を経験してきた。担当した仕事は、キッチンをメインにしながらもホールやマネジメントなど、任されればなんでもチャレンジ。ときには目の回るような忙しさも経験したが、「おかげで、どんな状況にも対応できる力がつきました」とも。
ジャンルも職種も、さらには業界まで超えた足取りは、岡本さんが感じている飲食業のおもしろさに通じている。
「料理はもちろんのこと、内装やイスなどの家具、食器、スタッフのユニフォームや髪型、BGMなど、お客さんがお店に入ってから出ていくまでの時間を、ありとあらゆる角度からもてなすことができるのが飲食業です。いわば、トータルプロデュース業。これが僕にとっての飲食業の魅力であり、これまでの経験が余すことなく役立っているのです。モッチには、そういった経験も好みもすべて詰め込まれています。」
居酒屋とレストランの中間にある、「気軽に、だけどちょっと上質なものを楽しみたい」というニーズをガッチリとつかんでファンを広げているトラットリア モッチ。女性を中心に着実にリピーターが増えており、次の出店も視野に入りつつある。ここでもまた、幅の広さやプロデュースへの意欲が垣間見える。
「次に店を出すなら、イタリアンではなく中華や和食がいいですね。まったく違うジャンルにモッチの領域を広げていきたいんです。ジャンルは違うけど、『モッチが中華をやるとこうなるのか。なるほどな』と言われるような、僕たちらしさがしっかりと表現された店作りをしたいです。」
実は岡本さんは独立の際に、師匠と慕う人から「好きに改装して好きに使ったらいい」と言って店を譲ってもらった経緯を持つ。このときの感謝の気持ちを、今度は若手の挑戦を支援することで恩返しできれば、と考えているのだ。具体的には、意欲ある若手をモッチの社員として迎え、その人が作りたい新店舗や新業態を任せていこうと考えている。店が軌道に乗るようなら、のれん分けのような仕組みでそのお店を譲るという方法もあるかもしれない。将来は、さまざまな業態やスタイルの店を独自に経営するモッチの“卒業生”が連携する、モッチグループのようなものができれば、と思い描いている。そのときには、人材育成や店舗経営までを守備範囲にしている“トータルプロデューサー”岡本さんが大活躍していそうだ。
2018.11.29更新 取材・文/ウィルベリーズ
【取材したお店】
トラットリア モッチ
電話/078-381-7918
住所/神戸市中央区北長狭通2-5-17 メープル三宮3F
営業/18:00~翌0:00
定休日/水曜日
交通/JR「三ノ宮駅」徒歩5分