女性ひとりでも気軽にお洒落に ヘルシーな神戸餃子を 神戸餃子 オレギョ 総店長 ジョンさん(34才) |
前職は営業職。美容室に商品を案内するだけでなく、経営相談にも乗る仕事を通して、マネジメントに興味を持つようになったジョンさん。「自分で何か商売をやりたいと考えていた折、美容室を運営する現在のオーナーと出会い、飲食部門の立ち上げを一任されることになりました」と、2013年秋、約7年務めた会社を退職。飲食の世界へ転身を果たした。
昔から食べることと飲むことが大好き。食べ歩きを趣味とする中で、「女性は食べている時が一番幸せそうな顔をするなぁ」と感じていたのだそう。餃子という業態で勝負しようと考えたのも、神戸には多くの餃子店があるにも関わらず、女性が気軽に入れる雰囲気のお店が少ないという理由から。たしかに、餃子が好きという女性は多いが、男性客で賑わう専門店にひとりで入る勇気はなかなかない。こういった女性の立場に立った視点も、数々の美容室と関わる中で身に付けた、ジョンさんならではだ。
まずは神戸の名店「俺の餃子」で経験を積み、レシピを覚えひと通りの技術を身に付ける。「『俺の餃子』がオレギョの原点です。オーナーの知人が営んでいるお店で、快く修業を受け入れてくれました。」翌年、1号店に選んだ場所は、神戸の中でも好感度の高いお店が集まるトアウェスト。女性客をターゲットに、オシャレで清潔感溢れる内装や、カフェのようなお手洗いなどにもこだわった。
当初はひとりで店に立つ予定だったが、開店二日目で店はすでに大賑わい。急遽友人にヘルプを求め、求人募集を出すという繁盛ぶり。その秘密は雰囲気のみならず、食べやすさにこだわったひと口サイズの餃子の味。野菜と生姜たっぷりのヘルシーな具を、特殊な包み方で焼き上げる。「最初は油を敷いて焼き上げていたのですが、ある時、油を敷かないで焼いてみたらあっさり美味しく焼けたんです。」偶然にも餃子から油が上手く浸みだす包み方だったそうで、料理人出身ではないジョンさんだからこそ、生まれた革新であると言えるだろう。
その後も女性客を中心に口コミで人気が広がり、翌年には2号店を三宮に、3年目の2016年には3号店を大阪の福島に出店した。「エンドユーザーであるお客様とダイレクトにつながれる感覚は、営業職時代には決して味わえなかった手応え。飲食店のやりがいを実感するとともに、お店がスタッフの成長の場になっていることも、喜びのひとつです。」人材育成に力を入れ、スタッフにとってお店が“家=ホーム”となるよう、温かい職場づくりを心がけている。
そして今年4月、念願の梅田エリアでの出店を果たす。「ここハービスエント店のお話を頂いた時は、願ってもないチャンスであると同時に、お店の広さや初のランチ営業に正直不安もありました」と打ち明ける。福島店とは徒歩10分と離れていないが、客層はまったく異なる。古民家を改装した下町らしい雰囲気の福島店とは打って変わり、ハイソなファッションビルの一角。「出店を通して、立地と客層に合わせた店作りをする大切さを学びました」と、ここではなんとビオワインを提供。餃子との相性は抜群で、なるほどと感服せざるを得ない。
「どんなスタイルの店でも、さまざまな見せ方ができるのが餃子の面白さでもあります。今後はFC展開も含め、100店舗の出店を目指しています。東京や海外でも出店をしたいですが、高級志向にするのではなく、“リーズナブルに味わえるB級グルメ”という感覚だけは忘れたくないですね。」いつの日かアジアやヨーロッパの街角で、神戸餃子が味わえる日が待ち遠しい。
2018.9.20更新 取材・文/太田 裕子
【取材したお店】
神戸餃子 オレギョ ハービスエント店
電話/06-6147-2292
住所/大阪市北区梅田2-2-22 ハービスプラザエントB1F
営業/11:30~23:00(L.O.22:00)
定休日/不定休(ビルの店休日に準ずる)
交通/地下鉄四つ橋線「西梅田駅」徒歩3分・JR「大阪駅」徒歩4分