飲食歴ゼロからスタートし7周年 原動力は故郷、鹿児島の誇り 鹿児島酒場 さぶろく オーナー 藤井 健三さん(33才) |
18才で鹿児島より来阪。アパレル関係の仕事を経て、起業を志していたという藤井さん。副業として始めた仕事を機に、飲食業に興味を持つようになった。
「平日は会社員として働き、週末は独自で携帯電話のホームページを手がけていたんです。飛び込み営業先として向かったのが飲食店。多くのオーナーさんと出会い、なんて面白い仕事なのだろうと興味を持つようになりました。」
自分も飲食店で独立したい…そこからの行動が早かった。まずは同郷の親友を誘い、出店の準備に取り掛かる。友人も同じく、飲食業とは無縁。「1年はどこかで修行したい」と話す彼の意見をよそに、なんと1ヶ月後には物件を決め、オープンへと漕ぎ付けた。「たまたま知り合いの不動産屋さんがここを紹介してくれたんです。金銭的な条件が良かったので、実際の場所も見ずに決めました(笑)。若かったから寝ずに働くのも平気でしたし、変な自信があったんです」と当時を振り返る。
その店が、この夏で7周年を迎える。飲食業の厳しさを知る者であれば、奇跡に見えるかもしれない。実際、開店1週間後にはピンチに直面している。「最初は立ち飲みバーとして店を開けたのですが、まったくだめ。2週間後にはフリースタイル酒場と名前を変えたのですが、一向に客足が増えませんでした。」
考えあぐねていた折、お客様から「ガラス張りで外から丸見えなので、何とかしてほしい」と要望を受けた。「書道八段の相方が、故郷の鹿児島弁を大きな文字で紙に書いて外に貼ったんですよ。すると、鹿児島にゆかりを持つお客様がどんどん増えてきて、応援してくれるようになりました。」店を始めて3ヶ月目のことだった。
鹿児島と言えば、海の幸も山の幸も豊富に揃い、焼酎も種類も多数。自分たちのルーツに誇りを持ち、徐々に鹿児島の料理を増やしていったところ、これがまた大ヒット。「知覧鶏炭火鉄板焼」や「かつおの腹皮から揚げ」など、大阪ではなかなか味わえない一品もずらり。営業の傍ら、必死で料理とお酒について勉強を重ねた成果である。
現在は「鹿児島を世界に」を合言葉に、故郷の味と文化を発信する拠点となるべく活動を続けている。「居酒屋甲子園に参加し、地区大会で準優勝することができました。こういった活動や勉強会を通し、より多くの飲食店経営者と知り合うことで、視野がどんどん広がってきました。」今後はミナミに鹿児島のアンテナショップとなるべく店を出店することが目標。ワクワクできるビジョンを思い描き、一つひとつ積み上げていきたいと話してくれた。
2017.9.14更新 取材・文/太田 裕子
【取材したお店】
鹿児島酒場 さぶろく
電話/06-6696-0360
住所/大阪市住吉区長居3-9-16
営業/18:00~翌2:00(L.O.翌1:30)
定休日/不定休
交通/JR阪和線「長居駅」徒歩2分・地下鉄御堂筋線「長居駅」徒歩5分