努力を辞めなければ世界は広がる “ちょっとええ店”を作り続けたい バル屋 Boa Vivo 代表取締役 春田 幸一さん(39才) |
高校時代の親友と3人で約束した「いつか飲食店をやろう」という夢を叶えた春田さん。大学時代はヒッチハイクで北海道から沖縄まで縦断。卒業後は一流企業に就職するも、ある本の中に書かれた言葉が忘れられなかった。
「高橋歩さんの『サンクチュアリ』という本を読んで、人生もっと思い通りに生きていいんじゃないか?と。足踏みしていても靴の底は減る、という言葉が印象的でした。」飲食店での経験はゼロ。だけど飲むのが好き、人としゃべるのが大好き。ならばやってみよう!と、3年間で資金を貯め、退職。同じ志を持つ仲間と共に、共同生活をしながらそれぞれが違うジャンルの飲食店でアルバイト。日本全国をワゴンカーで回りつつ、各地で一夜限りのバー営業を行うなど、持ち前の行動力で見聞を広げ経験を積んだ。
一号店の名前は「Boa viagem」。ポルトガル語で「良い旅を」という意味の言葉には、「非日常空間を作り、この店に集まる人に素敵な時間を提供したい」との思いを込めた。ワゴンバーで知り合ったお客様も全国から駆け付け、オープニングから評判は上々。「飲んでしゃべって、毎日が楽しくて仕方なかった。気が付くとあっという間に2年が過ぎていました」と振り返る。
勢いはあった。しかし、徐々にお客様の数が減ってきた。「やばいな。もっと、ちゃんとせなあかん…」そんな思いに駆られ、4ヶ月の猛勉強の末、ソムリエ資格を取得。ワインと料理を充実させ、経営、そして店舗展開についてもビジョンを描くようになった。
苦境を乗り越える支えになったのは、ヒマラヤ山脈を上った時に見た景色。「努力を辞めなければ世界は広がる」…そんな実感と共に号泣した日のことは、決して忘れられない。’11年には二号店を、そして’14年8月にはここ「Boa Vivo」を開店。どの店舗も気軽に本格的な味を楽しめるよう趣向を凝らし、ライブ感を楽しめる雰囲気にもこだわった。
昨年秋にはのれん分けとして「而今(じこん)」ブランドのラーメン店を出店。今後は寿司業態の出店計画もあるという。「将来的にはジャンルを増やし、阿倍野エリアでさまざまな食のエンターテイメントを提供したいと考えています。そうすることで働くスタッフの技術も上がっていきますし、彼らに次のステージを用意することもできます。」
会社は10年目を迎え、3名の代表者はそれぞれの分野で活躍を続ける。投資回収を目的にするのではなく、お客様目線で“ちょっとええ店”を作り続けていきたい。創業前からの熱い思いは、決してブレることはない。
2017.7.27更新 取材・文/太田 裕子
【取材したお店】
バル屋 Boa Vivo(ボア・ヴィーボ)
電話/06-6631-5130
住所/大阪市阿倍野区阿倍野筋1-6-1 ViaあべのWalk1F136
営業/16:00~翌1:00(L.O.0:30)
定休日/火曜日
交通/各線「天王寺駅」徒歩3分
株式会社 BOA
電話/06-6657-6651
住所/大阪市阿倍野区阿倍野元町4-3(ラーメン而今 内)