フレンチレストラン エピス 古都の息吹感じる町家空間 |
古き良き和の建築と、フランス料理。日仏双方のエッセンスが美しく融合し、唯一無二の存在感を醸し出す。「店名のエピスとは、フランス語でスパイスという意味です。一味違った料理を提案するという思いを込めています」とシェフの井尻さん。古都の息遣いが聞こえる御所東に店を構え、来月で10周年を迎える。
開店当初から心がけているのは「生きた野菜を使った料理」。滋賀や大原の農家に自ら足を運ぶ。「毎朝6時に出発し、農家の方たちに会いに行きます。現在取引しているのは10軒ほど。若手からベテランまでさまざまな農家さんから元気をもらっています。」 電話一本で材料を届けてもらえる時代。しかし生産者との温かいやりとりがあるからこそ、調理する際にさらなるパワーを吹き込むことができる。
コースは夜でも4900円が主流。3皿のアミューズからスタートし、野菜のオードブル、温製のオードブル、スープ、魚、肉、デザートにドリンクと全10種類の構成だ。高級店ひしめく京都市内において、10年間この価格・スタイルを貫いてきた。毎月内容を変更し、リピーターでも飽きぬよう工夫を重ねる。「お陰様で多くの常連さんや、遠方から通って下さるお客様がたくさんおられます。守っていきたい部分と、変化していきたい部分。10年の節目に、いろいろと考えています。」
進化がなければ退化と同じ。井尻さんはそうつぶやいた。長年に渡り食器などはフランスから買い集めてきたが、最近ではモダンな和食器や国産の木の器を使用することも始めた。自ら陶芸をたしなみ器から作成することも考えている。同時に、食材に対する情報にも敏感。常にアンテナを張り巡らせている。「今日はフランスのロワールから入荷した極太のホワイトアスパラを、瀬戸内産オリーブ鱒のポワレに添えて提供します。」二日に一度は京都中央市場にも足を運ぶ。
今後の展開については「もう一度何か大きなチャレンジをしたい」という気持ちが強い。海外への出店も視野に入れており、まずはこの店舗を任せられる人材を育てることが目下の目標だ。「料理は誰でも学べばできるようになります。3~4年経験して一通りのことを覚えたら、その先が大事。店を任せられるようになり、その店の『顔』として活躍することで初めてつながりや信頼が生まれます。」井尻さん自身、修行先で7年間料理長を務めた後に独立を果たした。早くから経営者の立場で物事を考えた経験が、大きな力になったという。
「個人店だからこそ学んでもらえることがたくさんあります。誰よりも強い思いを持っている方と、共に働きたいですね」と人材を募集中だ。
2017.7.6更新 取材・文/太田 裕子
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フレンチレストラン エピス
電話/075-222-2220
住所/京都市上京区寺町通り今出川下る真如堂前町105
営業/11:30~14:00(L.O.)、17:30~20:00(L.O.)
定休日/水曜日
交通/京阪「出町柳駅」徒歩8分