九州の食べんといかんばい~大分編~ 「黄飯」
お祝いの席での料理といえば、赤飯を思い浮かべる方は多いと思います。しかし大分県臼杵市では、赤色ではなく黄色のご飯、その名も「黄飯(おうはん)」が定番になっています。
黄飯の鮮やかな色の秘密は、クチナシの実。乾燥したクチナシの実を砕き、水につけると黄色に染まるのですが、その水で炊いたご飯も同様に黄色になるわけです。
黄飯の由来は、安土桃山時代にキリシタン大名の大友宗麟が、キリスト教の宣教師に教わったという説や、財政難だった臼杵藩の藩主が、贅沢な赤飯の代わりに作らせて家来にも振る舞ったという説があります。
また、この時代の臼杵市は、商業都市としてポルトガルとの貿易が盛んだったことから、スペインのパエリアの影響を受けたとも考えられ、パエリアに使われるサフランが、臼杵の山野に多く自生していたクチナシに変わったのではないかといわれています。
黄飯はご飯だけを食べるのではなく、かやくと呼ばれるものと一緒に頂きます。かやくは、エソなどの白身魚と豆腐、椎茸や大根、ごぼうやにんじんなどの野菜を煮込んだもので、このかやくを黄飯にかけて食べます。大晦日に大量に作って、三が日に煮返しながら食べられており、煮返せば煮返すほど味がしみて美味しくなります。
黄飯を後世に残そうと、給食へのメニュー化など、協議会もPRに力を入れています。鮮やかな黄色で心がワクワクする黄飯!これからもお祝いの席には欠かせない郷土料理になってくれそうです。