九州の食べんといかんばい~長崎編~ 「ミルクセーキ」
「ミルクセーキ」と聞くと、牛乳ベースの甘い飲み物をイメージしますよね。特に子どもの頃は大好きだった方も多いのではないでしょうか。しかし、長崎の人々にとってミルクセーキとは、飲み物ではなく“食べ物”なのです。
長崎のミルクセーキはさらさらな液体ではなく、スプーンですくって食べるフローズンデザート。一般的なミルクセーキは牛乳に卵や砂糖を入れたものですが、長崎ではこの材料にかき氷が加わるため、シャーベット状のミルクセーキになるのです。
始まりは、大正末期から昭和初期頃。夏の猛暑が厳しい上に坂道が多い長崎で、汗だくになりながら歩いている人々を見たある喫茶店の亭主が、「一気に涼しくしてあげたい」と考案し誕生しました。アイスクリームとは違うシャキシャキとした食感、優しい甘さだけど後味スッキリ、そして体もクールダウンできるミルクセーキはたちまち大ブレイク!一気に長崎全土へ広まっていったそうです。
ミルクセーキのルーツは、北米の「エッグノッグ」という飲み物からきているといわれています。エッグノッグも牛乳や卵を使っていますが、ラム酒やブランデーなどのアルコールが加わっています。北米ではクリスマスや大晦日などに温めて飲まれており、ミルクセーキとは違う大人の飲み物です。このエッグノッグが、幕末に西洋文化と共に日本に伝わったといわれています。
長崎の人々の猛暑回避のためだったミルクセーキも、今は観光客からの支持も得て、オールシーズン味わえる喫茶店も増えてきています。食後のデザートには、ぜひミルクセーキをどうぞ♪