九州の食べんといかんばい~宮崎編~ 「チョウザメ料理」
世界三大珍味の一つであるキャビアが、チョウザメの卵というのは皆さんご存知かと思います。しかし、キャビアばかりが注目されがちですが、実はチョウザメも美味しく食べられる魚なんですよ。宮崎県小林市ではチョウザメの養殖に力を入れており、日本一の生産量を誇ります。
そもそもチョウザメは「サメ」の仲間ではなく、世界最大の淡水魚(半淡水魚)で、チョウザメ科に属しています。体表にあるウロコが「蝶」の形をしており、大きいものになると体長6mにもなる全体的な姿がサメに似ていることから、その名前が由来しています。
チョウザメは、高級で売れるキャビアを目的に乱獲され、絶滅まで危惧されました。そこで2006年、ワシントン条約によりキャビアの国際取引が禁止されます。ますます養殖技術の確率が期待されるなか、実は宮崎県では、1983年からチョウザメの養殖研究に着手していました。
当時、漁業技術協力の一環で旧ソ連からチョウザメの日本移入が決まり、小林市の水産試験場が200匹を引き受けました。しかし国内では前例がないだけに、飼育は手探りの状態。1991年、ようやく人工授精に成功するも、ふ化率は数%にすぎませんでした。
なんとか手がかりはないものかと、職員は欧米の企業や大学、研究機関などに出向きます。そしてついに2004年、国内初の完全養殖に成功。研究に着手してから、実に21年の月日が経っていました。その後、県はチョウザメ養殖とキャビア製造の普及を願って、参入事業者を募集し、技術やノウハウを無償で提供しています。
宮崎県では、特に魚肉が美味しいと評判の「シロチョウザメ」をメインに養殖しています。チョウザメは体内に腎臓を持っているため魚肉にアンモニア臭がなく、クセのない淡白な味わいの綺麗な白身が特徴です。そのためジャンルに絞られることがなく、和・洋・中といった様々な食べ方が楽しめます。
チョウザメは、ヨーロッパでは「ロイヤルフィッシュ」、中国では「エンペラーフィッシュ」と呼ばれるほど、古くから王様や皇帝に献上してきた高級食材です。実は寿命も100年近く生きるものもいて、「不老不死の食材」との伝説があるほど。皆さんもキャビアだけでなく、今後はチョウザメにも注目してみてください!