沖縄の食べないといけないさー 「ヤギ汁」
今回は、一風変わったグルメが多い沖縄県の「ヤギ汁」をご紹介します!
ヤギ汁とは、その名の通り「ヤギ肉のスープ」。沖縄の方言では「ヒージャー汁」と呼ばれており、「ヒージャー」とは「ヒゲのある動物」という意味です。ヤギの肉と骨を長時間じっくり煮込んだスープに、塩で味付けをしているだけのシンプルな料理です。
ヤギ肉は低カロリーで高たんぱく質、鉄と亜鉛の成分も多く、栄養満点のヘルシーフードです。特に戦後の食糧難の際は、雑草で育ってくれるヤギの乳や肉は、貴重なたんぱく源とされていました。そのため、沖縄でヤギ料理は「ヒージャーグスイ(ヤギは栄養が高く、まるで薬のよう)」といわれています。
さて、そんなヤギ汁の気になるお味…の前に、まずお伝えしたいのは“ニオイ”について。ヤギ汁を食べるなら、その強烈なニオイにかなりの覚悟が必要です。「ラム肉程度かな?」なんてとんでもなく、「動物園のニオイ」と表現する人もいるほどです。そのためヤギ汁には、ニオイ消しのためにヨモギや生姜を入れたりしますが、それでも獣臭はとれません。
このようにかなりのクセがあることから、沖縄県民でさえも苦手な人が多いのだとか。しかし、このニオイさえ乗り越えれば味は美味!濃厚でコクのあるスープに、じっくり煮込まれたヤギ肉は柔らかくトロトロです。
栄養満点なヤギ汁ですが、全ての人におすすめできるわけではありません。昔から沖縄で伝えられている迷信に近いようなものですが、ヤギ汁を食べるときはいくつかの注意点があります。
■妊婦は食べるな
ヤギは「下げグスイ(下げる薬)」といわれ、便秘などには効果があるのですが、妊婦さんが食べると早産になるといわれています。医学的根拠はありませんが、血の巡りが良くなりお産が早くなる可能性はあるそうです。逆に、出産予定日を過ぎた妊婦さんに食べさせると、陣痛がくるという説も。
■高血圧の人は食べるな
昔から「ヤギ肉は血圧を上げる」とされていたそう。しかし、近年の研究で「ヤギ肉が血圧を上げるのではなく、ヤギ汁の塩分が血圧を上げていた」ことが明らかになりました。ヤギ汁好きの高血圧の人には朗報ですね。塩分を控えめにすれば、高血圧の人も食べて大丈夫です。
■冷たい飲み物と一緒に食べるな
ヤギ肉の脂は融点が高いため、冷たいものと一緒に食べると、お腹の中で脂が固まって腹痛を起こすといわれています。しかし、こちらも医学的根拠がない話。体の中で温められるため、冷たいものを飲んだからといって脂が固まることはないそう。たまたま腹痛を起こした昔の人が広めた、都市伝説的なものだと考えられます。事実、沖縄県民はヤギ汁のお供に冷たい泡盛を気にせずに飲んでいますね。
いかがでしたでしょうか。日本には納豆やくさやなど、“クサイけど美味しいもの”がたくさんありますが、ヤギ汁は現地じゃないとなかなか食べられません。ヤギ汁を食べてみたい勇者は、沖縄に行かれた際にぜひ挑戦してみてください!