関西の食べなあかんやん~和歌山編~ 「さんま寿司」
海も山もあって食の宝庫ともいえる和歌山ですが、交通の便があまりよくない山間部では、古くから保存食=寿司文化が発達してきました。そんな和歌山で食べられている「さんま寿司」は、和歌山のお正月やお祝い事には欠かせない郷土料理の一つです。
さんま=秋の味覚と思う方が多いですが、熊野灘(三重県及び和歌山県の太平洋沿岸部)では12月から3月がさんまのシーズン!熊野灘で獲れるさんまは、北海道から南下してくる間に身が引き締まり、適度に脂も落ちたもの。淡泊で砂糖や酢が馴染みやすく、寿司魚としては最高の状態なんですよ。
さんま寿司の作り方は何工程にも渡ります。さんまが丸ごと入る器の中に酢飯を入れて、その上に開いて軽く塩漬けにしたさんまをのせ、押して作ります。つまり「さんま寿司」は押し寿司の一種なんです。さんまの開き方は地方によって違い、熊野地域では頭も付けたまま背から開きますが、紀北地域では頭を落として腹から開きます。香りづけも山側は柚子、海辺は橙(だいだい)が多いそう。何工程もかけて仕込みをするうち、青魚特有の生臭さはなくなり、甘みが効いてさっぱりとした食べやすい味になります。
まさに今、美味しい時期を迎えている「さんま寿司」。和歌山に行かれた際はぜひ召し上がってみてください!