九州の食べんといかんばい~福岡編~ 「柳川鍋」
福岡市内から車で約1時間。2km四方、延長60kmに渡って網目状の掘割が巡らされた「水郷の町」と呼ばれる福岡県柳川市。掘割をどんこ舟で回る川下りは、柳川の風情ある城下町をゆっくりと観光できる名物です。
そんな柳川市の有名な郷土料理に、「柳川鍋」があります。ゴボウを敷いた土鍋にドジョウを入れ、溶き卵でとじて煮込む鍋料理です。「柳川」という地名から「柳川鍋」と名付けられたかと思いきや、実は柳川鍋のルーツは東京からきています。
江戸時代頃には既に東京で食べられていたといわれる柳川鍋。なぜこの料理名が付いたかというと、創案した料理屋の屋号という説、創案者の名前という説、使う土鍋の産地が福岡県柳川市だったと諸説あり、真実は謎のままなんです。いずれにせよ、東京で生まれた柳川鍋は全国に広まり、ドジョウの特産地である福岡県柳川市で名物として定着したようです。
同じくドジョウを使った鍋料理に「どぜう鍋(どじょう鍋)」がありますが、ドジョウを丸ごと煮込むどぜう鍋に対して、柳川鍋はドジョウを開いて内臓や骨を取り出してから煮込みます。また、卵でとじるのも決定的な違いです。柳川鍋は、全ての具材を卵が優しく包んでくれ、圧倒的にまろやかさが増します。
水田や湿地帯など全国に生息しているドジョウですが、現在は食用にする習慣が少なくなってきています。しかしドジョウは、カルシウムがウナギの8倍以上、鉄分は10倍、ビタミン豊富、しかも脂質が少ないためカロリーはウナギの3分の1程度という、とても体に嬉しい食材。柳川鍋は夏バテ防止によく食べられますが、寒くなってきて免疫力が下がる冬にも、是非食べてほしいスタミナ料理なのです。
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