九州の食べんといかんばい~大分編~ 「やせうま」
大分を代表する郷土料理ながら、最も素朴でシンプルな「やせうま」。古くから大分で愛されているこのやせうまとは、小麦粉で作った平たい麺にきなこと砂糖をまぶしたもので、いわばお菓子感覚で食べられています。
ちなみに、同じく大分の郷土料理である「だんご汁」と同じ材料のため、「メインにだんご汁、デザートにやせうま」のように一緒に食べる事も多いのだとか。確かに家庭で作る際は一石二鳥でいいですね!
「やせうま」という面白い名前についてですが、由来は諸説あって定かではありません。しかしその中でも有力な説をご紹介します。
平安時代、京都から豊後の国・大分へ都落ちし、隠居した一族がいました。その一族の若君に仕える八瀬という乳母がいたのですが、不自由な暮らしの中でもおやつをせがんでくる若君のために、小麦粉をこねて長くのばし、茹で上がった麺にきなこをまぶして食べさせていました。すると若君はこのおやつを大変気に入り、「やせ、うまうま!(八瀬、うまいものがほしい)」とねだるようになったのです。ここから「やせうま」と名付けられたといわれています。
若君が両手をのばして乳母の八瀬にねだっている姿が想像できる、とても可愛くてほっこりする話ですよね。
現在、やせうまは学校給食にも登場するほど大分に根付いています。時代を越え、今も大分の子ども達を支える、優しい味のおやつなのです。