九州の食べんといかんばい~長崎編~ 「五島うどん」
自然豊かな長崎県・五島列島で昔から食べられている「五島うどん」は、香川の「讃岐うどん」、秋田の「稲庭うどん」と並ぶ、日本三大うどんの1つといわれています。この3つの中でも、遣唐使の時代に中国から渡ってきた五島うどんの歴史は1000年以上と最も古く、「日本のうどんのルーツ」と言っても過言ではないでしょう。
しかし、讃岐うどんと稲庭うどんに比べると、五島うどんは全国にあまり知られていないように感じます。それもそのはず、五島うどんは五島列島だけで作られており、しかもたった数件のうどん生産家によって少量しか作られないのです。この生産量の少なさから、五島うどんは「幻のうどん」とも呼ばれています。
五島うどんの最大の特徴である、細くてコシが強い麺。断面は円形で、直径は約1.5mmほどです。讃岐うどんと稲庭うどんの断面は四角形で、直径が約3mmほどなので、五島うどんがどれほど細いかお分かりいただけると思います。
では、なぜ五島うどんは円形なのでしょうか?それは作り方に秘密があります。五島うどんの製法は「手延べ式」という、こね上げたうどんの生地を2本の棒に八の字でかけていき、それを延ばしていくというもの。この時に「より」といわれるひねりをかけて延ばしていくため、断面が丸くなります。生地を延ばすという製法のおかげで、小麦粉のグルテン構造が強化されて強いコシが生まれるのです。
また、手延べ式は乾麺に適している製法です。五島列島は古くから漁業で栄えた島。何日も帰れない漁師たちのために、日持ちのする乾麺になったのではないかといわれています。
きつねうどんや冷やしうどんなど様々な食べ方がありますが、五島うどんの強いコシを味わうなら「地獄炊き」がオススメ!グツグツとたぎる鍋から直接うどんをすくって、つけ汁につけて頂きます。シンプルですが、この食べ方が一番コシの強さと喉越しを楽しめる事間違いなしです!