九州の食べんといかんばい~熊本編~ 「いきなり団子」
熊本県民が子どもの頃から慣れ親しんできた、「いきなり団子」という郷土菓子があります。サツマイモと小豆あんが入っているだけの素朴なお団子ですが、昔から熊本の人々のおやつの定番として愛されてきました。
戦後、サツマイモは穀物に混ぜ主食として食べられたり、おやつとしても親しまれてきた食材です。当時は砂糖も貴重な時代だったため、塩を効かせた生地でサツマイモを包んだだけの、本当にシンプルなお団子がはじまりではないかと思われます。やがて小豆のあんが気軽に入手できるようになり、全国でも有数のサツマイモ産地である熊本県で、「いきなり団子」が誕生したのではないかといわれています。
作り方はとても簡単!輪切りにしたサツマイモと小豆あんを、小麦粉を練った生地で包んで蒸すだけです。慣れている人は30分ほどで作ってしまうのだとか。「いきなり(突然)お客さんが来てもすぐに作ってもてなせる」や「輪切りにしたサツマイモをいきなり(そのまま)包んで蒸す」など、「いきなり団子」の名前の由来は、この簡単な作り方からきています。
家庭で生まれた素朴なお団子は、今や熊本県を代表する郷土菓子になりました。県内には、いきなり団子を販売するお店もたくさんあり、軒先にある蒸し器からモクモクと湯気が立ち上っています。ホクホクの出来たてが一番美味しいんだとか!
もうすぐやってくるお盆。懐かしい味を楽しみに帰省する、熊本県民もたくさんいるのではないでしょうか?