関西の食べなあかんやん~和歌山編~ 「南高梅干し」
日本で収穫される梅の約60%を占めるのが、和歌山の南高梅です。和歌山の南部にあるみなべ町が一大産地になっています。南高梅の特徴は、皮が薄い・種が小さい・果肉が柔らかいことです。また、完全に熟した梅の実が自然と落下してから収穫するので、フルーティーな香りも特徴の一つ。他の梅干しと南高梅で決定的に違うのは、果肉が非常に柔らかいために機械での大量生産ができないこと。今でも全ての作業を一つひとつ人の手によって行っているので、高い品質を維持できているんですね。そんな南高梅で作られた南高梅干しは最高級品と言われ、贈答品としても大いに喜ばれる一品です。
梅干しが生まれたのは古代中国だといわれています。元々は梅酢を作った後に出来た副産物の扱いで、黒焼きにしたものを腹痛の治療や解熱などの効果を目的としていました。食用よりは、むしろ薬として重宝されていたのです。ちなみに日本で梅干しが食用として用いられ始めたのは平安時代で、現在の梅干しの作り方がほぼ完成したのは江戸時代だったそう。日本のことわざに「梅はその日の難逃れ」という言葉があります。朝に梅干しを食べれば、その日一日災難から逃れることができる、という意味です。梅に含まれるクエン酸には、疲労回復や殺菌効果などの効果が期待できます。スポーツ後に梅干を1粒食べると翌日がすごく楽だという話があるほど!他にも、梅干しには腐敗防止、腸内環境改善、血流改善、肝機能改善、免疫力アップなど、体にいい効能がたくさんあるといわれているんです。
伝統食として昔から梅干しは広く人々に愛されています。日の丸弁当という言葉もあるように、かつては一粒をそのまま白米と一緒に食べる方法が一般的でした。最近は梅酒や梅ゼリー、梅ジュースなど、南高梅を使った色々な商品が開発されていますね。デザートだけではなく、パスタや揚げ物などに混ぜれば、味のアクセントにもなるので毎日の料理にももってこいなのが梅干し。蒸し暑さに体力を奪われがちなこの季節、一粒の南高梅干しから大きなパワーをもらって元気に夏をエンジョイしましょう!