
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
雇用保険に加入していた期間(算定基礎期間)が通算できるケース
失業給付(正確には、基本手当といいます)は、失業している日について1日単位で計算され、「所定給付日数」分を上限にもらうことができます。この「所定給付日数」は、離職理由、年齢、及び被保険者であった期間(この期間を「算定基礎期間」といいます)によって決定されます。算定基礎期間は、2つの要件を満たすことで、直近の退職まで雇用保険に加入していた期間だけでなく、前職分も、つなげて計算(通算)されます。要件さえ満たせば、前々職も、その前も延々と通算されます。
通算されるための要件の1つ目は、「離職日(退職日)から次の職の就職日の空白期間が、1年以内であること」です。空白期間が1年を超えると、通算することができなくなります。
要件の2つ目は、「過去の離職にかかる受給資格にもとづいて、基本手当や再就職手当等の給付をもらっていないこと」です。給付金を1円でももらうと、それまでの期間は通算されなくなります。なお、離職後、求職の申込をして受給資格の決定を受けていても、給付金さえもらっていなければ、通算することができます。
また、通算できる期間を実際に合算する際には、暦年、歴月及び暦日のそれぞれごとに加算し、歴月の12ヶ月をもって1年、暦日の30日をもって1ヶ月とします。
さらに、ご質問に関連して、そのほかに算定基礎期間として扱われない2種類の期間についてご説明します。
1種類目は、雇用保険にさかのぼって加入したケースに関してです。勤務していたお店が、本来雇用保険に加入させるべきタイミングで加入手続きを取らず、後からさかのぼって加入手続きを取る場合があります。この場合、そのさかのぼり手続きをした日(被保険者資格を確認した日)から原則として2年までしかさかのぼることができません。そして、この2年より前の期間は、算定基礎期間として扱われません。
さかのぼり加入について、例外として、2年前の日より前に、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかである場合は、2年よりも前にさかのぼって雇用保険に加入することができます。この場合、雇用保険料の天引きが明らかなもっとも古い時点より前の期間は、算定基礎期間として扱われません。
2種類目は、育児休業を取得したケースに関してです。育児休業を取得して、雇用保険から育児休業給付金をもらった期間がある場合、この期間は算定基礎期間として扱われません。
退職者から前職で加入していた期間をつなげられるかどうか質問されることがあるかもしれません。しかし、過去に基本手当を受給したかどうか等について、お店では正確には把握できないでしょうから、詳細はハローワークで確認するように答えてください。
2021年 11月04日 掲載
飲食店の転職求人情報を探す


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談