
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
週労働20時間未満となって雇用保険を抜けた場合の離職票
結論としては、雇用保険から抜ける時点で離職票をもらうことができ、一定の要件を満たせば、失業給付(正確には「基本手当」といいます)をもらうこともできます。
雇用保険は、所定労働時間が1週20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある場合に、加入義務があります。あなたの場合、1週25時間の契約から15時間に変更になったことで加入基準を満たさなくなるため、雇用保険から抜ける(被保険者資格を喪失する)ことになります。
なお、所定労働時間が週20時間以上となる労働条件に復帰することを前提として、臨時的・一時的に(概ね6カ月以内、育児のために時間を短縮した場合には、その子が小学校就学前)週20時間未満となる場合には、被保険者資格は継続する扱いとなっています。
従来、「取締役や役員等になったことによる資格喪失」「週所定労働時間が20時間未満となったことによる資格喪失」については、雇用保険からは抜けるものの、事業主との雇用関係が終了していないために、その時点では離職票は交付されず、実際に退職した時点で交付されていました。
しかし、この取扱いが平成23年3月10日以降変更となり、資格喪失の時点で退職したものとして、離職票も交付されるようになりました。
また、資格喪失後、実際には働いていても、被保険者期間の条件を満たし(資格喪失日以前2年間に12ヶ月以上)、積極的に就職活動を行う場合には、基本手当を受けることができます。
ただし、
・常勤の取締役、役員等に就任している場合 ・非常勤の取締役、役員等に就任しており、1日あたりの報酬額が、雇用保険法で定められる「内職収入の控除額」の範囲を超えて受ける場合
・現在の仕事に専念する場合
・雇用保険の被保険者となりうる求職条件を希望しない場合
には、基本手当を受けることができません。
もう1点注意が必要なのは、「受給期間」についてです。離職日(今回のケースは、実際には離職していませんが、ここでは資格喪失にあたり離職したものと扱われる日を意味します)の翌日から1年間を「受給期間」といいます。基本手当は、その期間内に所定給付日数を上限に支給されます。受給期間を過ぎると、所定給付日数が残っていてももらうことができなくなるので、受給手続きは早めにするようにしてください。
まだ在職しているのに、離職票を交付することに違和感を覚えるかもしれませんが、本文のとおり正しい手続きをするようにしてください。
2021年 12月27日 掲載
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特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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