

有限会社石巻観光
代表取締役須藤 智之
市場や漁協に通い、仕入れを日々行っている須藤氏。「魚屋三代 彦蔵」店内で取材
2017年7月掲載
ふるさとで培った強みを手に、
事業拡大と地域貢献に尽力!

1977年石巻市出身。23才でショットバーを経営し、2006年に有限会社 石巻観光を設立。2011年、東日本大震災をきっかけに、女川町の株式会社 岡清から「魚屋三代 彦蔵」の運営を引き継ぐ。
生まれ育った環境や仲間たち、人生の中から事業のヒントを得る
石巻、女川の地魚を専門に扱い、鮮度と味にこだわった魚介をリーズナブルに食べられると評判の店「魚屋三代 彦蔵」。品質の良さと安さを実現しているのは、運営している有限会社 石巻観光の代表である須藤氏が開拓した独自ルートが要だ。須藤氏は、「自分の人生の中から、仕事につながる強みを見つける」ことにこだわり、事業を展開している。アイディアは真似されやすい。でも、私の人生全ては真似できない」と話し、生まれ育った石巻市で10代から交流のある仲間達や経験から培った知識をベースに、漁協や生産者とつながりをもてるようになった。現在は、ブランド魚「みやぎサーモン」を漁協から直接仕入れるなど、同社ならではの戦略で原価を抑えることに成功している。
社員は家族。求める人材像は、ない!
「お互いの利益やメリットなど、本音の部分で話をして、合わないならお付き合いしないだけ。自分を嫌いだという人がいても当然だと考えています」と、須藤氏は取引先との関わり方において、自分の中で揺るぎない信念をもつ。その信念に顔をしかめる人もいるが、分かり合えた時には信頼のおける深い付き合いになっていくという。
須藤氏に社員へ求めていることを聞いた。「求める人材像なんてありません。スタッフ同士が一緒に働きたい人を選び、私の役割はその人のいいところを伸ばしてあげるだけです」と、採用の現場には一切ノータッチだ。しかし「一緒に働く人はいわば家族」と言い、「仕事を通して自分のストロングポイントやウィークポイントを見つけてもらうようにしています。それが分かれば、今後、強みを武器として成長したり、苦手なことへの対処もできるようになる。とにかく可能性を伸ばしてあげたいです」と社員への思いは熱い。「人間力」をキーワードに、感性を磨くことや対応力を備えることなど、自身の経験談を交えつつ、話すことも多いという。また、社員のことをもっと知りたいと月に一度は懇親会を開き、何気ないコミュニケーションを通して社員の成長を応援している。
ふるさとの発展につながる事業を展開
同社が目指すのは、ふるさと石巻市の発展。仙台で飲食店を経営しているが、本社を石巻市に置き続けているのもそのためだ。「もっとたくさんの人が訪れる石巻市にしたい」と、イベント企画などの事業を通してまちづくりへの積極的な参加を続けている。現在は、宮城の水産業振興課やみやぎ産業振興機構、地元の漁協などと幅広く連携し、石巻市にある自社の水産物加工場で地域の発展に貢献したいと計画中だ。
「県外の人が多く訪れるのは、やはり仙台。仙台の国分町にある『魚屋三代 彦蔵』で石巻の海産物を知り、興味を持ち、そして沿岸部へと実際に足を運んでもらいたいと考えています。この店は、石巻を知るためのきっかけにしてくれればうれしいです」と話す須藤氏。ふるさとのより明るい未来のために、同社の挑戦はこれからも続く。

従業員 13名
仙台市青葉区国分町2-7-13
ピースビルⅡ 2F
電話/022-268-5534