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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「一度した解雇予告を、お店は一方的に取り消すことができるか」

質問1

Q.

 勤務しているお店が業績不振となり、整理解雇が行われることになりました。私も解雇の対象となり、先日、「30日後に解雇する」と、解雇予告を受けました。ところがその後、解雇対象者でなかった者が、次々に自主退職をしていき、かえって人手不足になりました。
するとお店から今度は「やっぱり解雇予告は取り消すので、このまま勤務を続けるように。もし解雇予定日で退職するのなら、それは自己都合退職になるからな!」と告げられました。こんな一方的な言い分は、許されるのでしょうか。
【31才 女性】
答え

A.

 結論としては、一度なされた解雇予告は、使用者(お店の側)の方から一方的に取り消すことはできません。ただし、労働者が同意をする場合には、取り消すことが可能となります。
 まず、「解雇予告」の制度から確認しておきましょう。労働基準法の定めにより、使用者は、労働者を解雇しようとする場合に、30日以上前に解雇予告をするか、平均賃金30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません(20条1項)。また、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合、その日数を短縮することができます(同条2項)。例えば、10日分の平均賃金を支払い、20日前に予告をするといった具合に、解雇予告と解雇予告手当を併用することも認められているということです。この規定の趣旨は、労働者が突然の解雇から被る生活の困窮を緩和するため、とされています。
 解雇予告は、使用者が一方的になす労働契約解除の意思表示であって、事情が変わったからといってこれを取り消すことはできない、とされています。もしそれが許されるなら、労働者の地位が極めて不安定な状態に置かれるからです。
 もっとも、労働者が予告の取消に同意する場合には、そのような状態に置かれる心配はないので、取り消すことは差し支えないとされています。(厚生労働省労働基準局編 労働基準法コンメンタール)
 一方、労働者が同意しない場合には、予告期間満了で当然に労働契約は終了します。その労働契約終了は、あくまでも解雇であり、自己都合退職に変わるわけではありません
 行政通達においても、「使用者の行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことを得ないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができるものと解すべきである。解雇予告の意思表示の取消に対して、労働者の同意がない場合は、自己退職の問題は生じない」と示されています。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 ポイントは、「一度解雇予告をすると、労働者の同意がない限り、一方的に取り消すことはできない」ということです。十分注意してください。
グルメキャリー335号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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