最終更新日 2019年01月17日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「地域限定正社員は、事業所が閉鎖されれば、自動的に解雇となるか」

質問1

Q.

 関西に本社のある飲食チェーンが、関東圏に進出した際、関東エリアの店舗以外には転勤のない「地域限定正社員」として採用されました。ところが、経営状況が良くなく、関東の店舗はすべて閉鎖し、撤退することになり、私は自動的に解雇されることになりました。これは正しいのでしょうか。
【41才 男性】
答え

A.

 たとえ、地域限定正社員だったとしても、事業所閉鎖により、直ちに解雇することは許されません。
 従来、日本の雇用システムにおける正社員とは、長期雇用を前提に、配置転換の命令があれば、職務の変更や勤務地の変更(転勤)に応じることが当然とされてきました。また、残業の命令にも応じなければなりません。そのため、それらに応じることができない者は正社員になることができず、非正規社員になるしかありませんでした。このように正社員と非正規社員との二極化が起きていました。そこで、現在の政府は、職務、勤務地、勤務時間のいずれかを限定した「多様な正社員」制度(職務限定正社員、勤務地限定正社員、勤務時間限定正社員)を提唱しています。これにより、労働者はワーク・ライフ・バランスの実現等、企業側は優秀な人材の確保・定着等、それぞれにメリットがあるとしています。
 「勤務地限定正社員」にも、勤務する事業所のエリアを限定したタイプや、一つの事業所に限定したタイプ等が制度設計として考えられます。前者の場合も、「転居を伴う転勤は行わない」とするのが一般的です。
 さて、では「勤務地限定正社員」の場合、その勤務地の事業所が閉鎖になった場合、直ちに解雇することが許されるでしょうか。実はそれほどかんたんなものではありません。この場合には、「整理解雇」が有効となるか無効となるかの枠組みで判断されます。
 整理解雇が有効となるためには、(1)解雇の必要性があったか(2)解雇を回避するための努力を尽くしたか(3)解雇対象者の人選は妥当だったか(4)説明や協議を尽くして解雇手続は妥当だったか、の4つの要素から判断されます。
 特に事業所閉鎖のケースでは、(2)の解雇回避努力が重要となります。具体的には、限定地域とは異なる店舗への異動を打診したか、他社への転籍先を模索したか等が判断材料となります。
 そういった努力を尽くしても、解雇を回避できなかったのなら、その解雇は有効になるでしょう。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 限定正社員についての議論は、政府でも継続的に進められていて、ニュースや新聞の報道で触れることも多いかと思います。それとともに、「限定正社員であれば解雇をしやすくなる」という認識が、世間では生まれつつあるようです。しかし、過去の裁判例によると、それほど単純な話ではありません。今後の政府によるルール作りに注目しましょう。
グルメキャリー311号掲載

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飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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