最終更新日 2019年01月17日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「減給された上に賞与で低く査定されるのは、懲戒の二重処分か」

質問1

Q.

 無断欠勤を何度かしてしまい、懲戒として先月の給与で、いくらかの減給処分となりました。さらに今月支給された賞与では、大幅な査定低下となりました。二重の懲戒処分は許されるのでしょうか。
【24才 男性】
答え

A.

 懲戒とは、労働者が企業秩序を乱す行為をした場合に、それに対する制裁罰として行われる不利益な措置のことです。使用者(お店の側)が労働者に対し、懲戒権を行使するためには、まず就業規則に「どんな行為をしたときに(懲戒の事由)、どんな処分を行うか(懲戒の種類)」を定めておかなければなりません。
 また、懲戒処分には、法律の世界における刑罰法規になぞらえて、「罪刑法定主義」の考え方も用いられます。具体的には、懲戒規定が定められる前の行為について処分をすることはできない(不遡及の原則)、同じ事由について二重の処分をすることはできない(一事不再理の原則)ということです。
 さて、ご質問のケースを考えてみます。まず、すでに受けている減給処分についてです。懲戒処分をする条件である就業規則への記載があり、労働基準法91条に定められる「減給の制裁」についての規制(一事案につき、平均賃金1日分の2分の1まで、総額が一賃金支払期の10分の1まで)をクリアしていれば、その減給処分は問題がないことになります。
 次に問題となるのは、さらに賞与で低い査定をされた件です。賞与の支給について、就業規則(賃金規程)で、「毎年6月と12月に、会社の業績、本人の勤務成績等を勘案し、賞与を支給することがある」といった定めとなっていた場合、確定した支給部分が無いことになります。無断欠勤が多くて査定が低くなり、結果として賞与額が低額となっても、査定によって初めて賞与の請求権が発生するわけですから、減額をしたわけではありません。この点で、すでに働いて、労働の対価として請求権が発生した賃金から、一部を差っ引く「減給の制裁」とは、性格の異なるものと言えます。
 一方、「賞与は基本給の○ヶ月分を支給する」と定められていた場合、賞与の支給額が確定していたことになり、そこから減額する場合には、二重処分に当たると判断されるでしょう。また、確定部分と査定部分が併用される場合には、確定部分からの減額が行われれば、やはり二重処分となります。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 賞与の全額が査定で決定される場合には、二重処分の問題は生じませんが、確定部分が有る場合には、注意が必要です。就業規則(賃金規程)の賞与の決定方法について、確認しておきましょう。
グルメキャリー310号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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