最終更新日 2019年01月17日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「採用内定後、入社日前の研修に賃金は発生するか」

質問1

Q.

 転職活動の末、ある飲食店から採用内定をもらいました。そのお店から、「入社後にスムーズに仕事ができるように、入社日前に3日間の研修を実施します」と連絡がありました。この研修にも賃金を支払ってもらえるのでしょうか。
【22才 男性】
答え

A.

 その研修の参加が、義務づけられているものかどうかがポイントとなります。
 採用内定がいつ成立するのか、その実態は企業によって様々なため、一概にはいうことはできません。一般的には、企業側から採用内定通知があり、それを受け、労働者が誓約書等を提出した時点で、採用内定が成立します(誓約書の提出を要件としない裁判例もあります)。
 少し難しい話になりますが、採用内定の法的性質は、「始期付解約権留保付労働契約」が成立した状態とされています。この「始期」について、事案によって、入社日が「就労の始期」と解釈される場合と、入社日が「効力発生の始期」と解釈される場合があります。
 もしも、「就労の始期」であった場合には、契約の効力は採用内定と同時に発生しているので、就労を前提としない労働契約上の義務を課すことが可能です。したがって、入社日前にも研修を義務づけることができます
 一方、「効力発生の始期」であった場合には、入社日まで契約の効力は発生しないので、研修の参加を義務づけることはできません。この場合は、本人の同意がなければ、研修を実施することはできません。
 次に、参加が強制される研修であった場合、研修時間は、使用者(お店の側)の指揮命令下に置かれた時間となるので、「労働時間」となります。したがって、使用者は、当該「労働時間」についての対価として、「賃金」の支払義務が発生します。
 そうではなく、参加が強制されず、労働者の自由意思によって参加するか否かを決定できる場合には、研修時間は「労働時間」にはあたらず、「賃金」の支払も不要ということになります。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 中途入社の場合、研修の内容は、即戦力として働いてもらうためのものであり、「参加してもしなくてもいいよ」というわけにはいかないのではないでしょうか。入社日前に研修を受けさせたいなら、内定通知書に、「内定とともに労働契約の効力が発生している」こと、「入社日前の研修に参加する義務がある」ことを明記する方法が考えられます。
グルメキャリー291号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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