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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「調理師免許取得の支援制度利用後、一定期間内の退職に違約金」

質問1

Q.

  私の勤めるお店には、調理師免許の取得支援制度があり、講座を受ける費用を全額出してもらえます。しかし、制度を利用した後、5年以内に退職する場合には、受講料に違約金を上乗せして返還しなければなりません。このような制度は違法ではありませんか。
【24才 女性】
答え

A.

   結論としては、このような支援制度は、違法と判断されます。
 労働基準法16条には、賠償予定の禁止として、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定められています。「何年以内に退職した場合、違約金○万円を支払う」といった約束は、この16条違反になります。労働基準法の目的の一つは、戦前に見られたような不当な人身拘束を禁止することです。違約金を払わないと辞めさせてもらえないといった、「辞めたいのに辞められない」状態の足止め策は、厳しく禁止されるのです。
 昨今では、会社が負担した研修や留学の費用について、一定期間勤務を継続しないとその費用を返還しなければならないという約束が、16条に違反するのかどうかが問題になることが多くなっています。いくつかの裁判例によると、一定の条件下においては、研修費用の返還が認められています。
 まず、その研修等が、「業務性」をもっているかどうかが問題となります。業務性があれば、その費用は企業側が負担して当たり前とされ、返還を求めることはできません。
 次に、研修等の費用が、金銭貸借契約による貸付金で、一定期間勤務すれば返済を免除するという明確な合意があり、労働契約とまったく別の契約と認められる場合には、退職の自由を不当に制限するものではなく、16条違反とならないとされています。もちろん、形式上の契約が金銭貸借契約となっているだけではダメで、実態を伴っていなければなりません。
 さらには、研修後に必要な継続勤務期間の長さ、返還費用の範囲、返還方法などの要素が考慮されます。
 ご質問について考えてみましょう。まず、実際に要した受講費用に上乗せして違約金を要求されていることから、明らかな16条違反となります。返還請求が認められる場合であっても、実費を超えることはできません。また、条件となっている継続勤務期間が5年となっているのも、長すぎると判断される可能性が高いでしょう。
グルメキャリー277号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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