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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「一度決定した退職日について、労働者から変更の申出ができるか」

質問1

Q.

  転職をするつもりで、1ヶ月後を退職日とした退職願を提出したところ、店長に承諾してもらえました。ところが、思いのほか早く次の仕事が決まり、転職先からは、すぐにでも入社してほしいと言われています。そこで、あらためて今のお店に、2週間後を退職日として退職したいと伝えたところ、「一度決まった退職日は変更できない」と言われました。法律的には、2週間前に退職を伝えればいいのではないのですか。 
【29才 男性】
答え

A.

  結論としては、あなたの言い分を通すことは難しく、退職日は変更できないと考えるべきでしょう。
  「退職願を提出する」という行為は、法的に見ると、「労働契約の解約を、あなたがお店に申し込んだ」ということになります。そして、お店の側がその申込みを承諾することによって、合意による解約が成立したことになります(合意退職)。
 その後、あなたが退職日の変更を申し出るということは、すでに成立した合意解約(これも契約の一つです)について、契約変更を申し入れることになります。そうすると、その契約変更申し入れについて、再度お店が承諾しない限り、契約変更は成立しないことになります。つまり、いったん合意によって決まった退職日は、再度の合意がなければ変更できないということです。
 確かに、民法の規定では、原則として2週間前に退職の意思表示をすれば、お店側の承諾の有無にかかわらず、退職は成立します。これを強行規定と解釈すると、成立している合意退職よりもこちらの規定が優先し、2週間後に退職できそうです。しかし、そもそもこの規定の趣旨は、契約期間の定めのない労働者に対し、退職の自由を保障することです。ご質問のケースのように、すでに合意退職が成立している場合にまで適用するのは、やはり無理があるでしょう。したがって、一度合意によって成立した退職日は、お店の同意が無ければ、変更はできないと考えられます。
グルメキャリー232号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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