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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「就業規則の一方的な変更に従わなければならないか」

質問1

Q.

  以前からお店に就業規則はあったのですが、ある日突然、店長が新しい就業規則を持ってきて、「明日からこの変更した内容に従ってもらう」と言いました。その変更は大幅に労働条件が悪くなっていて、とても納得できるものではありません。私たちは全員この就業規則に従わなければならないのですか。 
【38才 男性】
答え

A.

  そのような状況で変更された就業規則は、法的効力は認められないと考えられ、従う必要はないでしょう。
  就業規則を変更すれば、自動的に従業員は拘束されると考えている経営者は少なくありません。しかし、これは大きな間違いです。労働契約法9条には、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定められています。つまり、労働者の『合意』がなければ、就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできないのです。これが大原則です。
  とはいえ、労働契約の関係は、継続的で集団的なものなのに、労働者全員の合意がなければ永遠に就業規則を変更できないというのも問題があります。そこで労働契約法10条では、変更が合理的であり、かつ労働者に周知させた場合には、変更後の就業規則が新たな労働契約の内容である労働条件となる、としています。つまり、「合意」が無ければ就業規則を変更できないのが原則だけれども、「変更の合理性」と「労働者への周知」があることを条件に、例外として合意が無くても変更ができるということです。
  ここでいう「変更の合理性」とは、(1)労働者の受ける不利益の程度 (2)労働条件の変更の必要性 (3)変更後の就業規則の内容の相当性 (4)労働組合等との交渉の状況 (5)その他の就業規則の変更にかかる事情、を要素として、総合的に判断されます。ご質問のケースでは変更の必要性や不利益の程度は不明です。しかし、従業員に対して、変更についての十分な説明や交渉を事前にすることなく、いきなり「明日から変更する」と新しい就業規則を持ってきたのでは、(4)の要素を満たすことはできず、とうてい「変更の合理性」は認められません。したがって、このように変更された就業規則には、法的効力は認められません。
グルメキャリー231号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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