最終更新日 2019年03月14日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「自己都合と会社都合で退職金の支給額が異なるのは許されるか」

質問1

Q.

 私のお店の退職金規程では、退職金の支給額が、自己都合退職の場合、定年退職よりも減額されます。このような規定は許されるのですか。なんだか、自己都合退職すると、損な気がするのですが。
【43才 男性】
答え

A.

 結論としては、このような規定も違法ではありません。というより、退職事由に応じて支給額に差をつけて計算することの方が、むしろ一般的でしょう。
 退職金そのものは、法律上、使用者(お店の側)に義務づけられているわけではありません。しかし、退職金規程等により、制度化された場合には、労働契約の内容となり、労働者には退職金請求権が発生します。
 また、退職金の法的性格は、一般に「賃金の後払的性格」と長年勤めたご苦労様代という意味の「功労報償的性格」であるとされています。先述のとおり、退職金自体は法的義務ではないので、退職金にどのような意味を持たせるのかは、制度設計をする使用者側の方針・理念しだいとなります。
 さて、退職金規程では、自己都合退職より定年退職や会社都合退職の方が、退職金の支給額が高くなっていることが一般的です。さらに、整理解雇の前段階において、通常の会社都合よりも退職金を上積みして希望退職を募集することがあります。一方、懲戒解雇の場合には、退職金の一部又は全部を支給しないとする条項が定められていることも一般的です。
 自己都合退職より定年や会社都合退職の退職金が高い理由は、優秀な人材には長く勤めてもらいたいという会社の考えがあります。通常の退職金は、勤続年数が長くなるほど、増加率が高くなるようになっています。あなたの言う「自己都合退職は損な気分」になっているのは、まさに使用者の狙いどおりと言えます。自己都合で早く辞めたら罰金を取るという制度は、労働基準法違反となります。しかし、長く働く人を退職金の計算で優遇することは許されます。先ほどの退職金の法的性格で言えば、長期勤続に対する「功労報償的性格」を重視していると言えます。
 ところで、従来の退職金の制度設計は、長期雇用・年功賃金を前提としていたものでした。しかし昨今は、より成果や貢献度を反映した制度となるように改革しようという流れが、退職金をめぐる人事労務の世界には起こっています。ただ、その流れの中においても、自己都合退職の場合に支給額が低くなる制度を採る企業は、依然として多いようです。
グルメキャリー219号掲載
 図2

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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