最終更新日 2019年03月22日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「退職後に支給される賞与に、社会保険料はかかるか」

質問1

Q.

 私が勤めていたお店では、1月~6月を査定期間とする夏季賞与を7月に、7月~12月を査定期間とする冬季賞与を翌年1月に支給されていました。また、退職後であっても査定期間のすべてに勤務していた者には、賞与が支給されることになっていました。
 さて、私は昨年12月31日に退職したのですが、冬季賞与の査定期間にはすべて勤務していたので、退職後の1月に賞与を支給してもらえました。この賞与から、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の各保険料が控除されていたのですが、これは正しいでしょうか。
【29才 女性】
答え

A.

 結論としては、雇用保険料は控除が必要ですが、健康保険料と厚生年金保険料は控除不要です。お店の計算は間違っています。
 まず、退職者の賞与に健康保険料・厚生年金保険料がかかるのか否かですが、誤解の多いところです。基本的なルールは、「資格喪失月の前月まで」に支給された賞与には健康保険料・厚生年金保険料がかかるということです。ここでいう「資格喪失月」とは資格喪失日を含む月のことですが、資格喪失日とは、退職日そのものではなく、「退職日の翌日」のことです。例えば、12月15日に賞与が支給されるお店において、12月25日に退職する人の場合、「資格喪失日=退職日の翌日である12月26日」となり、「資格喪失月=12月」、「資格喪失月の前月=11月」ですので、12月15日支給の賞与に、健康保険料・厚生年金保険料はかかりません。
 一方、同じく12月15日に支給される賞与でも、12月31日退職者は、「資格喪失日=退職日の翌日である1月1日」となり、「資格喪失月=1月」、「資格喪失月の前月=12月」となるので、12月中に支給される賞与に健康保険料・厚生年金保険料はかかることになります。
 ここでお気づきになりましたでしょうか。賞与については、「いつ働いた分を査定しているか」を考慮するのではなく、「いつ支給されたか」がポイントとなります。ご質問のケースでは、確かに査定期間は被保険者資格のある期間だったものの、実際の支給日が資格喪失日以降なので、健康保険料・厚生年金保険料はかかりません
 それに対し、雇用保険料は、「いつ働いた分か」が問題となります。ご質問のケースでは、支給日こそ退職後ですが、雇用保険の被保険者であった期間に査定された賞与なので、雇用保険料はかかるというわけです。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 賃金規程において、「査定期間に在籍していても、支給日に退職している者には、賞与を支給しない」という、いわゆる「支給日在籍要件」を定めているお店も多いでしょう。一方では、ご質問のケースのように退職後でも賞与を支給するお店も存在します。いずれにせよ、退職者の賞与に、社会保険料がかかるかかからないか、実務では間違いの多いところですので十分注意してください。
グルメキャリー323号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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