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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「正社員だった頃に発生した年次有給休暇を、アルバイトになってから取得した場合の賃金」

質問1

Q.

 正社員から、1日5時間、週6日勤務のアルバイトになりました。正社員時代に発生した有給休暇が残っていたので、先日取得しました。その時気づいたのですが、正社員のうちに有給休暇を取得していた場合には、1日あたり約1万円の賃金が支払われたことになるのに、アルバイトになってから取得すると、約5千円の賃金にしかなりません。なんとなく損したような気分ですが、これは正しいのでしょうか。
【29才 男性】
答え

A.

 結論としては、年次有給休暇(年休)を取得した日に支給される賃金は、その取得した日の賃金で算定されるので、ご質問のようなケースも仕方がないものです。
 まず、正社員からアルバイトになったとのことですが、実質的な雇用関係は継続しています。したがって、正社員時代に発生した年休の権利について、アルバイトになってからも行使することで、年休を取得することは可能です。
 そして、年休を取得した日の賃金については、次の3つのうちのいずれかを選択して、就業規則等に定めておかなければなりません(労働基準法39条7項)。
(1)労働基準法12条に定められる「平均賃金」
(2)通常の賃金
(3)健康保険法における「標準報酬月額の30分の1」
((3)の場合は、使用者(お店の側)と労働者代表との間で「労使協定」の締結が必要です)
 (1)~(3)のいずれにしても、実際に年休を取得した日の賃金をベースに算定されます。決して、年休権の発生した日の賃金で決定されるわけではありません
 したがって、ご質問のケースについても、年休権が発生したのが正社員であったころだとしても、その権利を行使したのがアルバイトになってからなら、年休取得日に支払われる賃金は、その取得した日のアルバイトとしての賃金となります。
 これを損と感じるのも分からないでもありません。しかし、逆にアルバイトから正社員になったケースは得することになりますし、昇給や降給があった前に年休権が発生し、後に取得した場合にも損得が発生することになります。ルールとはそういうものと捉えるしかありません。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 年休取得日の賃金については、本文のとおりです。
 なお、アルバイト等で、週所定労働時間が30時間未満であって、週所定労働日数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下の労働者には、その所定労働日数に比例して、正社員よりも少ない日数の年休が付与されます(比例付与)一度年休権が発生した日数は、その後アルバイトになった等で比例付与の対象になったとしても、減らされることはありません。年休取得日の賃金とは異なりますのでご注意ください。
グルメキャリー350号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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