最終更新日 2019年01月10日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「代休と決まっていた日に、出勤を命じられるか」

質問1

Q.

 私の勤めるお店では、代休の制度があります。先日も休日出勤をしたので、後日、指定された日に代休を取ることになりました。ところが、さらにその後、指定された代休の日に、出勤を命じられました。私はもう予定を入れてしまっていたのですが、この出勤命令に従わなければなりませんか。
【24才 女性】
答え

A.

 結論としては、この出勤命令は無効と判断される可能性が高いものであり、あなたは出勤命令に従う必要はないことになります。
 まず、「代休」の制度についておさらいしておきましょう。代休とは、休日労働をさせた場合に、その代償として事後的に別の労働日の労働義務を免除して“お休み”を与えるという措置です。代休を与えることは、法律上義務づけられているわけではないので、代休を与えるかどうかも、その運用方法も使用者(お店の側)の自由です。また、代休を与えたとしても、休日労働をさせた事実が消滅するわけではないことに注意が必要です。休日労働した休日が「法定休日」だった場合には、1.35倍で計算した割増賃金が必要です。
 一方、代休と似ていて混同されやすい制度として、「休日の振替」があります。休日の振替とは、あらかじめ、ある休日とある労働日をそっくり入れ替えることです。振替によって労働日となった日は、もはや休日ではないため、その日の労働は休日労働にはならず、休日労働としての割増賃金は発生しません。(ただし、振り替えた結果、その週の労働時間が40時間を超えるようなら、その超えた時間については法定時間外労働として、1.25倍の割増賃金が必要となります)
 さて、ではご質問のように、代休とされていた日について、「やっぱり人手が足りないので出勤するように」といった出勤命令は可能なのでしょうか。ある裁判例では、「代休とは休日出勤の代償として認められた労働義務の免除であるから、これはあらかじめ定められた休日同様に尊重すべきものである。いったん合意により定めた代休日を、いかに業務上の必要があるとは言え、使用者側の都合により一方的に変更することは原則として許されない」としました。
 したがって、ご質問のケースも、代休日に業務上の必要が生じたとしても、合意もなく、一方的に出勤を命じることはできないと考えるべきでしょう。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 代休は法律にもとづく制度ではないので、お店の側で比較的自由な運用ができます。しかし、いったん与えることにした日には、出勤命令ができなくなるという裁判例の存在に留意する必要があります。
グルメキャリー347号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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