最終更新日 2019年03月22日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「長期の年次有給休暇を取る際の手続」

質問1

Q.

長期の旅行に出るつもりで、2週間の年次有給休暇(年休)を、休暇開始予定日の3日前に出しました。ところが、就業規則には、「2週間以上の年休を取得する場合、1週間前までには届け出て、事前の調整をすること」と定められていたので、年休は認められませんでした。年休は法律で決められた権利なのに、このような規定は許されるのですか。
【30才 男性】
答え

A.

 労働基準法に定められる年次有給休暇は、雇入れ日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、10日分の権利が発生します。その後は1年ごとに継続勤務と8割以上出勤を満たすことで、法律で定められた日数分の年休を取得する権利が発生します。そして発生した年休を使うために、「何月何日に年休を取ります」と請求した場合、使用者(お店の側)は、その日に年休を与えなければなりません。この労働者が請求する権利を「時季指定権」といいます。
 一方、使用者の方は、労働者が指定した時季に年休を与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、年休取得日をほかの時季に変更することができます。この使用者側の権利を「時季変更権」といいます。
 ただし、年休を取得する権利は強力であり、使用者側の時季変更権は、ちょっとやそっとでは認められません。単に業務が忙しいというだけではダメで、シフト表を組み直したり、代替要員を手配したり、あらゆる手を尽くしても、それでも年休を与えることが困難である場合に、はじめて時季変更権の行使が認めあれるとイメージしてください。このように、使用者はできる限り労働者が指定した時季に年休を取ることができるように配慮する義務があります。
 しかし、年休を取得しようとする期間が長期間になると、様子は変わってきます。年休の期間が長期になるほど、事業の正常な運営を妨げる恐れが大きくなります。そのため、労働者と使用者の間で事前の調整が必要です。にもかかわらず、労働者がこの事前調整を図ることなく長期の年休を取ろうとした場合には、使用者には、ある程度の裁量をもって時季変更権を行使できると考えられます。ある最高裁判例では、この考えにもとづき、事前調整なしに約1ヶ月の年休を取ろうとした労働者に対し、使用者が後半の期間について行使した時季変更権を有効と判断しました。
 以上のとおり、使用者には年休を希望どおりに取れるように配慮する義務がある一方、長期休暇については労働者の側にも事前調整することを求めています。
 もっとも、どれぐらい長期であれば、どれだけの事前調整が必要かという点は、明確ではありません。しかし、ご質問のような、「2週間以上の年休取得のためには、1週間前までに届出」という就業規則の規定は、それほど無理難題を要求しているとも言えず、合理性が認められる可能性が高いでしょう。
グルメキャリー282号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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