最終更新日 2019年01月17日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「欠勤をした日に、一方的に年次有給休暇を取得させられるか」

質問1

Q.

  先日、風邪をひいて仕事を休みました。年次有給休暇(年休)はまだ残っているのですが、来月旅行に行く予定があり、そのために取っておきたいので、欠勤の申請をしました。ところが、お店からは「年休が残っているうちは、欠勤扱いではなく、自動的に年休を取得することになっている」と言われました。強制的に年休を取らせることは許されるのですか。 
【27才 女性】
答え

A.

  結論としては、お店が言っているような、自動的に年休を取得させるルールは法律違反となります。
 たとえば、朝起きたら熱があったので、お店に電話をして「今日は年休を使わせてください」というシーンは、一般に当たり前に受け入れられているようです。しかし、休暇とは、1日を単位とするものであり、1日は0時から24時までの暦日のことをいいます。つまり、年休を取得しようとするなら、遅くとも前日までに、事前に申し出ておかなければなりません。朝起きて電話をしても、その日はすでに始まっているわけですから、事後的な請求となり、年休を取得できないのが大原則です。ただし、使用者(お店の側)の裁量により、本来は欠勤となるところを、事後的に年休への振替えを認めることは、違法ではありません。世間一般の認識とは、原則と例外が反対になっているということです。
 それでは、逆のケースとして、年休が残っている場合には、欠勤ではなく自動的に年休を取得させるというのはどうでしょう。この問題を考える前に、『年休が成立する過程』を確認しておきましょう。
 まず、労働者の側から「何月何日に年休を取ります」と意思表示をすることが、年休成立の第一歩となります。このように労働者が年休を取得したい日を指定する権利のことを「時季指定権」といいます。一方、使用者は、請求された日に年休を取得されると、事業の正常な運営を妨げる場合には、別の日に変更させることのできる「時季変更権」を持っています。労働者が時季指定権を行使した後、それに対して使用者が時季変更権を行使しなければ、そのまま労働者が請求した日に年休は成立します。
 以上のとおり、年休が成立するためには、まず労働者が時季指定権を行使することが必要であり、使用者が一方的に年休を取得させることはできません。したがって、ご質問のようなお店のルールは違法となります。
 ただ、労働者には「年休を取る権利」はあっても、「欠勤する権利」はありません。まるで欠勤と年休を選択できるかのようなルールを運用している職場風土というのも、確かに問題があります。労務管理の観点からすると、お店の側は、欠勤に対して厳しい姿勢を示す(たとえば、人事考課や賞与査定の際、勤怠評価を含めるなど)ことが必要でしょう。
グルメキャリー250号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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