最終更新日 2019年01月17日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「業務上災害で休業した期間を、賞与支給要件で欠勤扱いにできるか」

質問1

Q.

 バイクで宅配弁当の配達中、交通事故に遭い大ケガをして、現在は入院中です。先日、賞与の支給日がありました。ところが、賞与査定期間中の休業期間を、単なる欠勤として扱われた上で、出勤率を満たさないという理由で賞与は不支給となりました。業務上災害での休業は、法律上、出勤と同様に扱わなければならないのではないのですか。
【27才 男性】
答え

A.

 残念ながら、賞与の査定にあたり、「業務上災害で休業している期間を出勤扱いにしなければならない」という法律は存在しません。
 そもそも賞与は、法律上、支給を義務づけられているわけではなく、支給対象者、査定期間、計算方法等の支給条件は、就業規則(賃金規程)の定めによることになります。支給要件となる出勤率において、業務上災害による病気・ケガと、私傷病とを同列に扱うような支給条件は、異論もあるでしょうけれど、直ちに法律違反となるわけではありません
 ところで、労働基準法では、年次有給休暇(年休)の権利が発生するためには8割以上の出勤率を満たすことが要件となっています。その出勤率の算定にあたり、業務上災害による休業した期間は、出勤したものとみなさなければならないことになっています(39条8項)。もしかすると、あなたはこの規定と混同されているのかもしれません。しかし、賞与の査定においてまで、出勤したものとみなすことまでは、義務づけられていません。
 また、ある最高裁判例では、賞与の支給要件[=もらえるかもらえないか]としての出勤率の算定にあたり、産前産後休業や育児休業を取得した期間について、欠勤と同様に扱っていた事案が問題となりました。判決によると、それら休業の権利や利益を保障した法律の趣旨を実質的に失わせることとなり、権利を行使する抑止力が強く働くことを理由に、欠勤扱いとすることを無効としました。(もっとも、この裁判では、支給額[=いくらもらえるか]の算定にあたっては、休業期間を欠勤扱いにすることは認めています
 ちなみに、先ほどの、年休における出勤率の算定では、産前産後休業や育児休業による休業期間も、出勤したものとみなすことが義務づけられています。
 以上のことをまとめると、業務上災害による休業期間を、賞与支給要件の出勤率算定にあたり、欠勤と同様に扱うことは、直ちに違法となるわけではありません。ただ、産前産後休業や育児休業とのバランスを考慮すると、支給要件の出勤率では不利益に扱わずに、支給額の算定においてのみ欠勤扱いにするのが、妥当な対応と言えるかもしれません。
飲食店オーナーの方へ

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 このケースのように、「違法ではない」からといって、労働者本人が納得いっていない問題を放置するのは、うまくありません。大切なことは、バランス感覚です。
グルメキャリー329号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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