最終更新日 2019年03月22日

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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「労基法改正による時間外労働の割増率引上げ、派遣労働者の場合」

質問1

Q.

  私は、派遣労働者として、飲食店に派遣されて働いています。先日、その飲食店で直接雇用されているスタッフと話していて分かったのですが、私の場合、1ヶ月の残業時間が60時間を超えると、残業代の割増率が25%から50%に引き上げられるのに、彼らは25%のままらしいのです。派遣労働者だけ法律で優遇されているということですか。
【33才 男性】
答え

A.

  派遣労働者だから、という理由で優遇されているわけではありません。ポイントは、雇用している企業側の規模の大きさです。
 平成22年4月に施行された改正労働基準法において、時間外労働(残業)に対する割増賃金の割増率が引き上げられました。従来は、1日8時間または1週40時間の法定労働時間を超えた時間外労働に対する割増率は25%となっていました。この改正以後は、1ヶ月60時間までの時間外労働についての割増率は25%のままですが、60時間を超える時間外労働については50%に引き上げられました
 ただし、中小企業については、当分の間、この割増率の引上げは猶予されています。猶予されている中小企業の範囲は、業種によって「資本の額(または出資の総額)」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。飲食店の場合、業種は「小売業」に分類され、資本金が5000万円以下または労働者数が50人以下であれば、中小企業に該当し、割増率の引き上げは猶予されています。なお、ここでの労働者数のカウントは、事業場単位ではなく企業単位とされています。複数の店舗をチェーンを経営する飲食企業の場合、全店舗の労働者数を合計して判定されます。また、事業場で派遣労働者が働いている場合、派遣労働者は、派遣元(派遣会社)と雇用関係があるため、派遣先の事業場ではカウントされず、派遣元でカウントされます。
 一方、派遣会社については、業種は「サービス業」に分類されますので、資本金が5000万円以下または労働者数が100人以下であれば、中小企業に該当します。派遣先の企業の業種は関係ありません。
 ここで整理すると、お店で直接雇用されて働いている正社員やアルバイトと、派遣会社から派遣されて働いている派遣労働者とは、たとえ同じお店で働いていても雇用主が異なります。そのため、割増率の引き上げが適用されているか猶予されているかについても、それぞれの雇用主の企業規模で異なってきます。ご質問のケースは、大企業に該当する派遣会社から、中小企業に該当する飲食店に派遣されているということになります。
グルメキャリー243号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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